■ レイアスネア -道重さゆみ- ■
「ぐがっ!ごっ!ごえぇえええっ!」
手掛かりを探ろうとした途端、異変は起こった。
卒倒、嘔吐、痙攣。
「ふくちゃん!」
道重の悲痛な声。
うかつだった!
さゆみは、何にも考えてなかった!
思えば、空室のままだったこと自体、疑うべきだった。
どこの病院も、病室を無駄に空けておく余裕などない。
普通であれば、すぐに次の患者が入るはずだ。
なぜ、亀井の病室だけ、空いたままだった?
なぜ、病院の誰も、そのことに疑問を挟まなかった?
気付けるはずだ。
気付けたはずだ。
敵は譜久村の能力を知っていたのだ。
亀井がいないとなれば、その手がかりを探すため、
譜久村が【視】るだろうことを、当然のごとく想定していたのだ。
道重や普通の人間が触ってもなんともなく、
残留思念を感知できる譜久村にのみ発動する『罠』が、
―――おそらく最後に触った、梨に―――
仕掛けられていたのだ。
【精神干渉】の一種か?
だが、これは新垣のそれとは全く異質な『何か』だ。
病院関係者の記憶を操作し、
残留思念に『罠』を仕掛けておける能力。
だが、取り乱した道重に、そこまで分析する余裕などない。
「ふくちゃん!ふくちゃん!…ふくちゃん!!!」
さゆみのせいだ!さゆみのせいだ!さゆみのせいだ!
さゆみの!!!
投稿日:2014/11/27(木) 18:18:59.30 0
最終更新:2014年11月28日 11:24