■ トランケイト -中澤裕子- ■
「石川が…?わかりました。
その情報は、あなたの所で留めておきなさい…ええ、ご苦労様」
中澤裕子は頭を抱えた。
「きっついわ…」
情報漏洩には十二分に配慮していた。
石川が知る余地は無かった、はずだ。
「どこや、どっから漏れた…」
なに?また石川が暴走してるの?
ああ、たのむわ、ちょっと行って捕まえてきてくれへん?
圭ちゃんがおったら、こないなん、なんでもないことやったのに、な…
かつての右腕は、もういない。
だがそれも、己の招いたことだ。
最悪の結末を回避する。
そのために必要なことは、すべてせねばならない。
その過程で起こるイレギュラーに、かまけている余裕はない。
犠牲は、やむをえない。
そうや、ウチはもう賽を投げてしもうた。
いまさら日和るわけにはいかん。
ならば、どっちや?
どっちを、とる?
決断は、すぐに下された。
投稿日:2015/03/02(月) 18:43:16.34 0
最終更新:2015年03月03日 10:28