■ チェリィブロッサム -生田衣梨奈・鞘師里保- ■
「うわぁ桜だ!桜だよ!えりぽん!」
「あーね」
「すごい!向こうまで続いてるよ!えりぽん!」
「あーね」
「ひゃぁ!水路だぁ!ん川かな?水綺麗だよ!えりぽん!」
「あーね」
はしゃぐ鞘師里保。
気のない相槌を繰り返す生田衣梨奈。
その眼は一点、手にした携帯端末に注がれ続けている。
「ほらっ!なんかちょっと潮の香りもしてない?えりぽん!」
「あーね」
「うれしいなぁ!地元だもんね!」
「あーね」
「いいなー!いいとこだねっ!博多っ!」
「…あーね」
わかっている。
互いにわかっている。
だから、はしゃぐ…だから、受け流す。
そう、それは、これから訪れる、その…
振動。
携帯端末。
画面には…
「里保」
「…うん」
端末を。
わかっている。
それは、鞘師がとるべきだ。
その端末は、鞘師里保が、とるべきなのだ。
そう、その端末が、戦いの―――
―――戦いの火蓋となる。
投稿日:2015/05/02(土) 01:42:13.43 0
最終更新:2015年05月03日 16:28