バ、バニッシュ?


これは「Vanish!」の本編とほぼ無関係のサイドストーリーである

吉澤をなんとか倒したものの、意識を失ったれいなはリゾナントに運ばれ治療が施された
その甲斐あってか現在、れいなは静かに寝息を立てて眠っている

しかしこの戦いで傷を負ったのはれいなだけではなかった
リゾナンターおよび雅も生きているのが不思議と思えるほどの傷を負った
道重は最低限、自分の力を制御しうるだけ自分自身を治しみんなの傷を治しに取り掛かった
これはその際に交わされた会話の一部を録音したものである

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「さて、まずはあなたからなの。手を出して欲しいの」
「え、わ、わたしは後でいいですから、高橋さんを一番最初に…」
「みやびちゃん、いいから、私は後で。
 みやびちゃんは私をかばって光弾を受けたんだから最初に治してもらう権利があるのよ」

「じゃあ小春を先に治してくださいよ~道重さん!!」
「…久住さん、さゆみの代わりに私でよかったら傷を消しますよ。傷どころか存在を消しますが」
「ヒィィィ~さえみさん、じょ、冗談ですよ。小春は最後でいいですよ~」

「久住さんは相変わらず空気読めへんわ…ところであんた、『ミヤビ』っていう名前なんや」
「はい、光井さん…何か私の顔に付いてますか?」
「…思い出した!あの可愛い制服の高校の子や!コンビニでおうたことあるよね!」
「え、ええ…そ、そうですよね」

「ほら愛佳、みやびちゃんとお話しするのは後でいいでしょ!!まったく愛佳も…ごめんね、疲れているのに」
「私は大丈夫ですよ、まだまだ若いですから」
「…」
「あ~昭和生まれのガキさんに言っちゃった~みやびちゃん毒舌~」
「コラ~実は昭和のカメにだけは言われたくないよ」

「…やっぱりみやびちゃんを最初に治してあげてね、サユ」
「は~い、わかりました~」
「…ありがとうございます高橋さん、道重さん」

「じゃあサユ、私はちょっとみんなの栄養になりそうなものを作ってくるからよろしく
 ガキさんもみんなを見ていてね、特に小春を」
「了解なのだ」
「何でですか~」

「…はい、これで大体終わり。後は自然に治るのをまっていればOK
 ガキさん、一応包帯を巻いておいてください。さゆみはジュンジュン達を治しに行きますので」
「わかったよ、さゆみん。ほら、みやびちゃん腕を出して
 …あのさ、みやびちゃん、あなたってれいなとどういう関係なの?」
「どうって昔の仲間…です」

「あの田中っちの仲間ね~それって『自称』?」
「いえ、田中さんが『ミヤはれーなの仲間っちゃ!』っていってくれました」
「へ~田中っち、好き嫌いが相当激しいからよほど好かれなきゃ『仲間』なんて言わないよ」
「そうなんですよね~でも、一体こんな私のどこを気にいったのかわからないんですよね」
「なにか田中っちが近いものをみやびちゃんにも感じたんじゃないのかな?」

「小春もそう思います!きっと田中さんの野生の勘でみやびちゃんを仲間と思ったんだと思います!」
「田中っちといつ頃出会ったの?」
「私が11歳頃です…田中さんは14歳かな?それくらいです」
「やっぱりね…田中っちは胸に秘めたみやびちゃんのおもいをしっかりみていたんだね」
「・・・ですね」
「ミヤの田中さんへの思い…」
「そう、みやびちゃんの胸にかかえたものの大きさが田中っちが『仲間』とした決め手だね」
「うんうん」

「でも、これからしばらく田中さんに合わす顔がないですね
 …こんな私を田中さんは仲間って言ってくれないでしょうし」
「そんなのわからないでしょ!みやびちゃん、大丈夫よ、自信持って」
「そうですよ、田中さんはそんなことでへこまないですから!」
「そ、そうですかね…」
「そうだよ、みやびちゃんも胸をはって生きていかないといけないよ!」

「それに、もしれいなが許さなくても、みやびちゃん、今度はさゆみ達が仲間になってあげられるの」
「道重さん…いつからそこにいたんですか?」
「ん?ちょっと前からなの、ガキさん、話は聞きました!
 今までも、これからもみやびちゃんは孤独じゃないですよね!」
「そう、今度は私達も仲間よ!」
「もちろん、小春も仲間としてみやびちゃんを認めますよ!!」
「み、みなさん、ありがとう、グスッ…」

「新垣さん、『仲間』ってそんな簡単にいうたらあかんと思いますけど…」
「光井サン、リンリンも同じく思いマス」
「マッタクダ」
「ね~」





最終更新:2010年09月26日 00:47