『銀河鉄道の夜』



いつもより遅い時間
電車の窓はガタガタ鳴く
川を渡り高架を走る
街と空の境目を見失う

見慣れた景色も
夜の帳が降りると少し新鮮
広がる街は星空のように
流れ行く車窓は流星のように

あの星の一つ一つに
一人一人の営みがある

ああ、あの家はうちと同じだ
姉ちゃんと弟2人
ああ、晩ご飯はハンバーグだ
めっちゃ美味しそう

ハッ。。。
いけないいけない
ボーッとするといつもこうだ
これじゃ覗きと変わらない

あの星の一つ一つに
一人一人の温もりがある


途中の駅で
ホームから手を振り続ける人がいる
見送りたい人がいるのだろう
相手はきっと恥ずかしいだろう

笑顔を見せたままで
ホームから電車は遠ざかってゆく
それだけ幸せな関係なんだろう
実はちょっと羨ましいな

あの星の一つ一つに
一人一人の愛がある

疲れた顔の人
真っ赤な顔の人
みんな、それぞれの守ろうとするものがある
みんな、それぞれの叶えようとする夢がある

非力だったあの頃の自分
守ろうとしたものは消えてしまった
叶えようとした夢は見失ってしまった

あの頃の自分とは違うけれど
また、守りたいものがある
また、叶えたい夢がある

視線を下に落とす
両手に持った満杯の袋
思い出す、幸せな時間
守りたいものの証

視線を前に戻す
変わらず広がる星空
想像する、一人一人の物語
叶えたい夢の決意

新たな一年を歩み出す決意
本当のみんなの幸いの為に
今の自分達なら、きっと出来る

あの星の一つ一つに
一人一人の帰る場所がある
あの星の一つ一つに
もう一つの明かりが灯る

部屋に広げた贈り物を見て
一年で一番目尻が下がる


――ハロー、今君に素晴らしい世界が見えますか――





投稿日:2013/10/27(日) 17:59:40.29 0




















最終更新:2013年10月28日 13:12