Case 15 光の四戦士



「流石、倉元くん……いえ、光の騎士、クラモッチ=ヨウジ=ラテンK」

 ミズホが微笑みながら、優しく俺を抱きしめてくれた。
 彼女の話によれば、俺は、光の四戦士の一人、クラモッチ=ヨウジ=ラテンKの末裔だったそうだ。
 身も心も傷だらけの俺に、彼女の優しさは身に染みた。 

 俺はミズホを抱きしめると、彼女へ優しくキスをした。


「おい!! このクソガキどもが!! 何て事をしてくれたんだ!!」
「教官! 坂持教官! ちきしょう! だめだ! もう息がないぞ!」
「ぶっ殺してやる!」


 そこには、5人の兵隊が群がるように、押し寄せてきていた。
 服は焼け焦げ、大小なりとも傷を負っているようだ。
 瀬戸や三村達が爆弾で壊滅させた分校の生き残りの兵隊らしい。
 手には、サブマシンガンやらショットガンやライフルで武装しており、手負いながらもかなりの戦闘力を有しているようだ。

「ああ、ヨウジ、悪魔の手先がやって来たわ……だけど、大丈夫。あなたは休んでいて、私が片づけるから」

 そう言って、バタフライナイフを構えるミズホ。
 そんなミズホの手を優しく俺は握った。

「大丈夫だ。問題ない……二人で戦おう」

 そして、俺は腰に差していた拳銃を引き抜いた。

 死んだかな、流石の俺もそう思いかけていたが、どんな時も諦めないミズホの横顔を見ていると、俺もあと少しならば頑張れる。
 そんな気がしていたのだ。

 次の瞬間、ぱらららら、とマシンガンの音が間断なく鳴り響く。

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」

 雄叫びと共に、短髪の男がマシンガン片手に銃を乱射していた。

「あれは――光の四戦士の一人、ハタ=ガミ=クシカツよ!」

「何、アイツも光の戦士なのか!?」

 奇襲攻撃という事もあり、ハタ=ガミは一瞬にして兵士5人を片づけてしまったのだ。

「大丈夫? 倉元くん、瑞穂ちゃん!」

「金井さん?」

 金井という小柄な女が話しかけて来た。

「大丈夫だ。問題ない」

 俺は、落ち着いた様子で、そう答えた。

「チッ、ひでぇな……こりゃ」

 ハタ=ガミは辺りに散乱する死体を見て渋い顔をし、そう呟いた。
 そして、三村の遺体を発見するとヤツは、三村の顔の上に自らの上着を脱いでかぶせるのだった。

 ハタ=ガミ……まさか、コイツが瀬戸の言っていた旗上なのか。

「そうか……お前達が旗上と金井か……生きていたのだな。助かった。お前達の事は、三村と瀬戸から話は聞いている」

「何! お前ら、二人に会ってたのか!! そうだ!! 瀬戸はどうしたんだ!? アイツも三村と一緒だったろうが!!」

 俺の胸倉を掴み、旗上がツバを俺の顔へ撒き散らしながら、激しく言い放つ。

「落ち着け。三村は、杉村から受けた傷がもとで俺達と会った後、すぐ死んだ。
 瀬戸は、杉村を倒す為に……相打つカタチで死んだ……」

 そう言って、俺は顔を伏せた。
 俺の話を聞き、目に涙をいっぱい溜めて顔を歪ませていく旗上を見る事が出来なかったからだ。
 まあ、瀬戸を直接殺したのは、俺だが、瀬戸の名誉のためにもその事は、俺の心の中へと仕舞う事にした。

「旗上くん、泣くのはストップ。全く、涙もろいんだから……しょうがないわね」

 そう言って、金井は自らのハンカチで旗上の涙を拭ってやっていた。

「取り敢えず、首輪を外すわよ。解除方法は、三村くんから教えてもらっているから」

 金井はそう言うと、手際よく、俺とミズホの首輪を解除してくれた。
 解除の片手間に話してくれた内容によれば、金井と旗上は囮として杉村に特攻したものの、杉村は天堂を発見し、そちらの方を追いかけた。
 結果として、二人は杉村を見失うという形になり、今まで瀬戸と三村を探していたそうだ。

「ぐすっ……取り敢えず、港に奪った船をとめてあるんだ。行こうぜ」

 涙目の旗上が金井のハンカチでチーンと鼻をかむと、金井は、ヤツの頭をスパコーンと殴り飛ばす。
 何だか、仲が良さそうだな。
最終更新:2012年01月05日 18:36