Case 16 そして、大海原へ



 俺達は夕焼けの海を船で進んでいた。
 船の操縦は金井がやっている。
 金井の家は資産家で、海に別荘もあったらしく、よく小型船舶の運転を遊び半分でやっていたそうだ。
 旗上は、金井から操縦方法を習いたいとか言って、一緒に操縦室にいる。スケベなやつだ。
 そして、先ほど携帯用の缶詰で軽い食事を済ませた俺達は軽い休憩を取ることにしたのだ。

「なあ、ミズホ……」

 俺は休憩室のソファーで隣に座るミズホに声をかけた。

「なぁに?」

 彼女は、甘えた声で返事をしてくる。

「結婚しよう」

「うん……」

 きっと、俺達の未来には苦難が待ち受けていると思う。
 だが、俺達は決して挫けたりしない。
 上を向き、ただ前へと進んでいくだろう。
 だって、俺にはこんなにも可愛らしい恋人がいるのだから。


 失ったものは多かった。
 だが、手に入れたものもある。
 神の力、心強き仲間達、そして、愛するミズホ。


「ミズホ……大好きだよ」

「……私も」

 ミズホは、どんな時も諦めなかった。
 俺を元気づけてくれた。
 彼女がいなければ、俺は死んでいた場面すらあっただろう。
 そんな大事な恋人を――俺は一生をかけて守り抜こうと誓ったのだ。




男子8番 倉元洋二
男子18番 旗上忠勝
女子1番 稲田瑞穂
女子5番 金井泉       生存者 以上4人
最終更新:2012年01月05日 18:37