53話
「くっそ! 織川の野郎・・・勝手に死にやがって!!」
男子17番 矢島 急須(やじま きゅうす)は、道路脇で地団駄を踏む。
親友の仇である織川洋は、殺されていた。
自分の手でなく、織川は誰かの手で殺されていた。
そのやり場のない怒りに矢島は打ち震えていた。
「・・・その声は・・・矢島か?」
青ざめた顔でふらふらと歩いてきたのは、男子6番 工藤 無頼(くどう ぶらい)であった。
「無頼くん・・・・」
そんな無頼を冷めた瞳で見つめる矢島。
「ワリィ・・・何か食いもんくれねぇか? 何も食ってねぇんだよ・・・」
見れば、無頼は丸腰だった。
顔色も悪いし、足取りもおぼつかない。
どれだけ悲惨な目にあったか・・・それは矢島には分からない。
「・・・不様なもんだな・・・校内最強の無頼くんがよォ~・・・・」
そう言って、矢島は、ボウガンの矢を無頼へと向ける。
「・・・矢島ぁ」
無頼は怒りの籠った眼で矢島を睨みつける。
「・・・死ね」
『ヒュン』
ボウガンの矢が放たれる。
「ぐっ・・・オラアアァッ!!!」
無頼の脳天目掛けて放たれた矢を無頼は左手を犠牲に受け止めた。
そのまま前傾姿勢のまま、矢島に跳びかかっていく。
『バンッ』
「うぐっ・・・・!」
矢島の隠し持っていたデリンジャーが無頼の腹を撃ちぬいた。
「へへへ・・・勝てると思ってるのかよ・・・無頼くんよ」
「――オラアァ!!」
だが、腹を抑えたまま無頼の丸太のような足から放たれる蹴りが矢島をぶっ飛ばした。
「・・・うぐ・・・ハァハァ・・・・ぅ」
無頼は自らの左に刺さった矢を力任せに引き抜く。
仰向けに倒れる矢島。
「・・・突き殺してやる」
血塗れの矢を手に、無頼に歩み寄る矢島。
「ハハッ・・・つええな。無頼くん・・・だけどな」
矢島は、デリンジャーの銃口を無頼に向ける。
『バンッ』
「・・・・ぐふぅ」
銃弾は、今度こそ無頼の脳天を貫いた。
「丸腰の馬鹿に負ける俺じゃねぇんだよ・・・」
男子6番 工藤 無頼(くどう ぶらい) 死亡 残り14人
最終更新:2012年01月05日 23:53