第3話 犯人はサブ


「あらら、やっちゃったよ~……とほほ~」

 支給品である大型バイク、シャドウエアロから恐る恐る降りてきたのは、若い男だった。
 顔にうっすらとニキビを浮かべた、まだあどけなさの残る顔立ち、前掛けをしていて活発的な印象。
 彼の名は、サブロー。
 三河屋という酒屋で働く好青年であった。
 彼は、血だらけで倒れるジークフリートと既に息のない八神 恭二の死体を見て青ざめる。

「あわわ、警官の人もやっちゃったか~~やばいな~。
 ……田舎のカァちゃんが知ったら、悲しむだろうな……ぐすっ」

 自分が逮捕され、三面記事に載り、それを知った母親が悲しむ姿を想像し、サブローは目に涙をためて、鼻水をすする。
 根は優しい男なのだ。

「あっ、でも、これって殺し合いなんだっけ?
 なら、仕方ないよな。あ~~、驚いて損した~」

 てへへ、と照れ笑いを浮かべてサブローは、バイクにまたがる。

「取ってて良かった、大型二輪~~~♪ ふふふ~~~ん♪」

 そして、サブローは上機嫌にその場を立ち去るのだった。
最終更新:2015年01月26日 22:58