第5話 勇者のクセに生意気だぜ


「くっくっく……あーーはっはっは!!
 骨川家は文武両道なんだよ!! そして、またいい武器を引き当てたぜ!!」

 口を尖らせた細目の青年は馬鹿笑いを上げながら、手にした武器を満足そうに眺めていた。
 彼の名は、骨川スネ吉。
 彼が引き当てた武器は、イングラムM10という名のサブマシンガン。
 いわゆる、バトロワにおける”当たり武器”である。

「もう二度と油断はしない!!
 俺は骨川スネ吉様だぁぁぁ!!!」

「うるせぇ」

 グサッ

「……あ?
 ぎゃあああああああああああああああああああああ!!!」

 突然、背中を刺されて絶叫するスネ吉。

「刺したらもっと煩くなったか……仕方ない。
 とどめを刺して騒音問題を解決するとしよう」

「や、やめろ」

 グサグサグサッ!

 スネ吉は、剣で滅多刺しにされて事切れる。

「ふう、流石勇者だな、俺は。環境問題も無事解決したし」

 彼の名は、キース・ハーディンフォード。
 実力だけは、勇者並みといわれる、ほぼ最強の肉体派戦士である。
 彼は、慣れた手つきで、支給品である”セラミックソード”の血のりを払うと、鞘に戻した。

「さて、何かいいものを持っとらんかな。
 戦闘に勝利した勇者は、戦利品をゲットできるのは世界の掟なのだ♪
 って、また鉄塊か……鈍器ばっかりだな。まあ、仕方ない。雑魚が持っているアイテムなど所詮この程度のものだろう」

 そして、キースはイングラムM10を茂みへと投げ捨てる。
 剣と魔法のファンタジー世界出身の彼は、銃など知らないのだ。

 だが、水と食料は当然のごとく回収するキースであった。


 そして、キースが立ち去った後、物陰からその一部始終を見ていた男が顔を出す。

「何なんだっ。今のはっ。何のためらいもなく殺りやがったぞ。
 それにしても何なんだこの状況はっ。俺みたいなただの一般学生が殺し合いなんてできるわけないだろう。
 ふ・ざ・け・る・な! こんな時に頼りになりそうな俺の知り合いは、長門と古泉くらいか。
 長門~、古泉~、どっちでもいいから、早く助けにきてくれ~~!!」

 普通の男子高生キョンは、頭を抱えて絶望の真っ只中に落ちていく。


 骨川スネ吉@バトドラ2    死亡    残り44人
最終更新:2015年01月26日 22:59