第28話 「関羽サマの千里行」


「瑠璃子殿ー! シェリー殿! 姫子殿ーー!!!
 ぬぬぬ……携帯電話め……なんと根性のない……拙者は情けないでござる!!」

 先程まで携帯電話越しに話していた姫子との会話が突然切断された。
 その理由は、単に姫子の電話の電池切れが原因であったが、そんな理由など分かる筈もない中国の英雄、関羽雲長は根性が足りんと、自らの携帯電話に侮蔑の視線を送っていた。

「しかし、斉木め……死んでしまうとは情けのないヤツだ」

 そして、自分の獲物である筈の斉木清十郎が既に命を落としている事に落胆していた。

「それに、まさか軍師殿まで聖杯戦争に参加していたとは、それがし驚きでござる。
 クラスはキャスターだったのだろうか……久しぶりに会えたかもしれないのに残念でござったなぁ」

 諸葛亮孔明の名を聞いた関羽は、昔を思い出し、ちょっぴり寂しい気持ちになる。


 落ち込んだり、憤慨したり、関羽がテンションを上げ下げしていると、バイクのエンジン音が聞こえてきた。

「む……殺気……とうっ!」

 関羽は左半身をずらし、猛スピードで迫りくる何かを回避する。
 そして、すれ違いざまに、その何者かの頭を鷲掴みにした。

 グキッ。

「……む? 何だこやつ……死んどるではないか」

 次の瞬間、前方で何かが爆発した。
 炎上するバイク。
 それは、関羽が鷲掴みにしている既に事切れたサブローの乗っていたバイク、シャドウエアロの残骸であった。
 シャドウエアロは岸壁にぶつかり、見事に爆発したのだ。

 サブローの死因は、時速50㎞以上でバイクに乗っている状態で、関羽に頭を掴まれた為、バイクの慣性と関羽の握力が引っ張り合いっこして、首の骨が折れちゃったことだった。

「うーむ、まあ良いか」

 関羽は、サブローの遺体をポイと投げ捨てると、保護すべき婦女子たちを求めて夜の島を彷徨う。




 サブロー@バトドラ2     死亡    残り28人
最終更新:2015年01月26日 23:31