プロローグ


 富士テレビの薄暗い会議室に集められた著名人達。
 何の目的で集められたか……皆がサッパリといった顔をしている。

 ドアが開いた。
 廊下から入ってきたのは、巨漢――松子デラックスである。
 そのサイドには、軍服を着たアシスタントらしき人間が2人立っている。
 2人ともライフル銃を構え、顔にはガスマスクを被っている為に表情は読めない。

「アンタ達、つまんないのよ!!
 少しでも面白くする為に今日はアンタ達に殺し合いをして貰うわ!!」


「――――――――!?」


 会議室の中に緊張が走る。
 そんな中、長身の中年俳優――杉本哲太が立ち上がる。

「……松子さん、コレ何の企画ですか?
 今、芸能人とヤクザが繋がってたり、生活保護の問題とか……。
 何かと風当たりきついじゃないですか……ちょっと冗談がスギるんじゃ――」

 パァンという破裂音と共に杉本哲太は倒れた。
 松子の手には硝煙を吐く拳銃が握られている。
 そして、杉本の周囲に広がる床の血。
 それは杉本の左胸から流れ落ちる血液だ。
 つまり、彼は心臓を松子に撃ち抜かれて死んだのだ。



「いきなりぶっ放すなんて、ワイルドだぜぇ……!」

 ノースリーブのGジャンを着たガタイのいい男――スギちゃんが笑う。


「ちょ……マジかよ……ヒーハー!」

 小太りの毛髪の少ない男――ブラマヨ小杉が後ずさりながら笑う。


「殺し合い……筋肉番付より面白そうじゃないですか……フフフ」

 鍛え上げれられた肉体を誇示しながら、イケメン俳優――ケインコスギもまた不敵に笑う。


「みんな、なかなかテンション上がってきたじゃない……じゃあ、ルールを説明するわね」

「これから、貴方達には殺し合いをしてもらうわ。
 特に反則はないけど、あたし達に逆らう悪い子にはお仕置きをしちゃうわ。
 ゲームの舞台は、とある島で行い、島は6×6のエリアに分かれてるの。
 エリアのどこかに貴方達をランダムに移動させます。
 1時間ごとに禁止エリアを増やしていくけど、禁止エリアに入った人はゲームオーバーになるから気を付けてね。
 ゲーム開始時刻は、正午よ。
 8時と18時に定期放送を行い、死亡者と禁止エリアの発表をするわ。
 ちょうど、78時間――つまり、1日半で全エリアが禁止エリアになるから、それまでに頑張って殺し合いなさい。
 貴方達には、デイバッグを支給します。
 デイバッグの中には、水と食料、地図とコンパス、時計、筆記用具と何かしらの支給武器が入っています。
 勝った人は24時間テレビの司会の地位をあげるから、せいぜい頑張りなさい」


 松子の説明が終わると、会議室には静けさが広がる。


「いきなり殺し合いとか言われても困るんだよね。
 銃如きで僕らをどうにか出来ると本気で思っているのかな……?」

 立ち上がったのは、ケインの弟シェインだった。
 兄に負けず劣らず良い筋肉を持っている。
 そして、自らの筋肉を誇示するかのように松子を睨みつける。
 その姿を見て、松子は頬を少し赤らめた。

「ふぅん……中々カワイイ顔してるじゃない。でも、その首輪が何か理解してるかしら?」

 松子の言葉にやっとこさ気付く。
 室内にいるすべて者が首輪をしていた。
 その隙に松子はポケットからリモコンを取り出し、ひとつのボタンを押した。


 ボン、という破裂音と共にシェインの首が吹っ飛ぶ。

「シェイン!?」
「シェインッ!!」

 シェインの兄ケインと、父のショーが悲痛な声を上げる。


「悲しんでる暇はないわ。
 それじゃあ、みんなにはこれから眠ってもらいます。
 せいぜい頑張って頂戴、応援してるわね……」


 次の瞬間、会議室内に睡眠ガスが注ぎ込まれた。


出席番号 05 番  シェイン・コスギ
出席番号 14 番  杉本哲太         ――死亡  残り17人
最終更新:2015年01月27日 17:13