第六話「人が堕ちる時」
それは住宅街での出来事であった。
銀魂の坂田銀時や涼宮ハルヒの憂鬱のキョン役で有名な声優、杉田智和は溜息をついた。
「24時間テレビって……俺って声優だぜ? 顔出しも少ない裏方の人間だぜ?
24時間テレビの司会めぐって殺し合えったってなぁ……はぁ……」
一部では、それなりに名の知れた彼だが、やはり声優。
他の参加者のお笑い芸人や俳優達に比べると、圧倒的に知名度がない。
そんな人間が司会をやっても番組がシラケるだろうし、そもそも杉田はそんなものに興味はなかった。
考え事して、ぼうっとしていたからか、杉田は自らの眼前に迫る異様な光景に目を見開いた。
それは、槍を手に駆けてくる大物俳優ショー・コスギの姿だった。
思わず杉田は支給品のウージーサブマシンガンを撃ってしまった。
「……!?」
まさか、相手が機関銃を持っているとは思わなかったショーはぎょっとする。
ぱらららら。
そんなマシンガン特有の銃撃音と共にショーは身体中を穴だらけにされ、死んだ。
「や、やっちまった……」
人を殺してしまったショックにより、杉田はヘナヘナと倒れる。
「……アンタがやったのか?」
そこに現れたのは、武闘派中学生、杉村弘樹であった。
手には、支給品である特殊警棒が握られていた。
「……ちっ!」
(やっちまった以上はもう後戻りは出来ない……)
すぐさま、銃口を杉村へと向ける杉田。
「アタァ!!」
だが、杉村は小説版BRでの桐村戦で見せた棒術により、ウージーを叩き落とす。
その衝撃で仰け反り、尻餅をつく杉田。
この隙を逃すまいと追撃を仕掛けようとする杉村だったが。
「コイツぅ!」
杉田は、ショーの落とした槍を力任せに薙ぎ払った。
槍の先端の刃が杉村の腹部を切り裂く。
杉村は苦悶の表情を浮かべ、たたらを踏む。
ドスッ。
そんな鈍い音だった。
腹部を槍で貫かれた杉村は、既に戦意を失っていた。
死を間近に控えた弱弱しい瞳で、杉田を睨むだけだった。
「終わりだ……!」
杉田は、力任せに引き抜いた槍を再び杉村に突き刺した。
それの突きは、杉村の命を奪う決定打となる。
「……くっ、琴弾……――」
杉村は最後に片思いのクラスメイトの名前を漏らして倒れた。
出席番号 06 番 ショー・コスギ
出席番号 13 番 杉村弘樹 ――死亡 残り7人
最終更新:2015年01月27日 17:20