パクリパクラレロワイアル


 死神星人編 其の5


パパス「ともかく我々は死神星人とかいう輩を倒さねばならないというわけか……」

桐山「そこのヤツが詳しい事を知っていたようだったが……」

 桐山は、感情の籠らない目で西君の死体を見る。

カイジ「死んじまったもんはしょうがねぇ……とにかく殺されないようにするしかない。パパスさんも桐山も結構戦い慣れてるみたいだったが……」

パパス「まあ、多少は腕に自信があるつもりだ」

桐山「この銃で撃てば、相手は爆発するみたいだ……原理は分からないが……」

カイジ「スゲェ武器だよな。俺も欲しいぜ」

 そんな3人の前に、黒いマントを羽織った初老の男が現れる。

パパス「あなたは……」

 パパスが剣に手をかけて、カイジと桐山を庇うように前に出る。

死神博士「我が改造人間どもを倒すとはな……貴様らはここで死ぬのだ!!」

 死神博士は、イカデビルに変身した。

イカデビル「キィ―――!!」

 不意をついて放たれた触手がムチのようにしなり、パパスの腹部を切り裂いた。

パパス「ぬわあああああ!!」

 腹部から血を大量に出しながら、パパスは倒れる。

カイジ「おっさん!!」

桐山「ちっ」

 桐山が銃の引き金をひく。
 しかし、素早い動きでイカデビルは回避した。

桐山「速い……捉えらきれない……!」


ノッチ「うおおおおおやめろおお!!」

 突如現れたノッチがイカデビルに背後から組みついた。

イカデビル「何!?」

ノッチ「うおおおお!!!」

 ノッチの筋肉が膨張する。
 いや、ノッチの着ているスーツの力のお陰で人間離れした怪力を出せているのだ。
 ノッチの怪力がイカデビルを締め上げ、イカデビルは苦しみもがいている。

イカデビル「キィ―――!!」

 イカデビルは苦悶の中、小高い声を上げた。
 彼の脳には隕石を自由自在に呼び寄せる装置が埋め込まれているのだ。

カイジ「あぶねぇ!!」

ノッチ「え?」

 ぐしゃりとノッチの頭部が小型の隕石の直撃で吹き飛んだ。
 隕石は、ノッチの頭を掬い取るように側面から命中し、イカデビルには傷一つ付ける事はなかった。

イカデビル「ゼェゼェ……」

 ノッチの戒めから逃れたイカデビルは、転がるように距離を取る。

桐山「……」

 だが、その背後にはスーツに身を包んでいる桐山が待ち構えていた。
 イカデビルは、その気配を感じとり、素早く触手で桐山を攻撃する。
 桐山はその攻撃を受け止め、イカデビルの鳩尾に拳を放った。
 およそ人間離れしたその一撃は、イカデビルを数十メートル程吹っ飛ばす。


桐山「成る程……このスーツを着ていると、人間離れした身体能力を発揮できるらしいな……」

カイジ「マジかよ。なら、俺も一応着とくか」

 カイジは手に持っていたカバンから、自分用のスーツを取り出して着替えを始める。



 べしゃり。

 再び、イカデビルが呼び寄せた隕石がカイジの頭を吹き飛ばしていた。

桐山「……」

 桐山の眼がスッと細くなる。

イカデビル「……キィー」

 イカデビルがよろよろと立ち上がる。
 桐山がイカデビル目掛けて駆けだした。
 小型の隕石が桐山に迫る。
 桐山は極小の動作で、隕石の軌道から外れる様に回避した。
 だが、完全には避けきれなかったのか桐山の左肩が抉れる。
 しかし、桐山はまるで怯む事なく、殺人マシーンの如くイカデビルに向かって疾走する。

イカデビル「!?」

 そのまま突っ込むように桐山の拳がイカデビルの顔面にめり込んだ。
 桐山の拳がイカデビルの顔面を貫く。

 イカデビルは死んだ。
 桐山が勝利したのだ。

桐山「……」

 桐山は痛む肩を押さえながら感情の籠らない目で、仲間だった者達の死体を眺める。
 首から上が欠損している死体など、見るも無残なものであった。

桐山「……!?」

 だがその死体の山の中で、桐山はかすかに動くものを発見した。

パパス「……ぐっ」

 それは血に染まった腹部を押さえるパパスであった。

桐山「……生きてたのか」

 桐山は少しだけ嬉しそうにそう言うと、手当に使えそうな物を探す。

パパス「……私はもう駄目だ。この傷ではもう助からん……」


桐山「……そうか」

 桐山もパパスの命がそう長くない事を悟り、そう呟き返した。


 敵を全て倒した為に、転送が始まる。
 桐山の身体がつま先から消えていく。

パパス「カズオ……君は生きて……自分の家に帰るのだ……」

桐山「……そうだな」

 そして、桐山の転送が完全に終わった。
最終更新:2015年01月29日 21:53