~第7話 茫然自失


少年は、肩まで伸ばした長い髪をかき上げると、一息つく。
かれは校舎を出て、町を抜け、一目散に走ってきた。
元々スポーツをやっている為それほど、息切れはしていない。
だが、胸の底から湧き上がってくる気だるい気持ちを抑えきれず、公園のベンチに深々と腰掛けた。
彼の名は、如月 進(きさらぎ しん)、湘央中野球部の一人だ。

「何ていうか…、だっせー…」
不意に己から出た言葉に思いを寄せる。
俺は、こんな所で死ぬ為に、15年間も生きてきたんじゃあないさ。

だけど…。

きっと俺はここで死ぬんだろうな…。

首を失い力なく倒れた乱堂玲花の身体。
ころころと地面を転がる乱堂玲花の頭。

今思い出しても恐ろしい。
あんな風に死ぬ為に、生きてきたんじゃない。
全身に死の恐怖が満ちてきているかのようだった。
身体の震えが止まらなかった…。

「くそっ…誰か助けてくれよ…」


【如月進】《所持品》???
最終更新:2015年01月30日 11:12