~第19話 感想
如月進は、公園のベンチで絶望していた。
まるで放心したかのようにしていた彼だったが、時間と共に冷静になってきたのか、ゆっくりと行動を開始し出していた。
まずは、デイバッグの中身を探る。
水の入ったペットボトル、菓子パンが3袋ほど、地図。
俺は、まず目を引いた地図を確認する。
ここは公園……つまり、C-8という事になる。
町の中にあるエリア、人が集まりそうな場所だ。
俺は腕にはめた時計を確認する。
親戚の中華料理店を必死に手伝い、出たアルバイト代で買ったD-Shockの時計。
俺の自慢のアイテムであったが、いつ死んでしまうかわからない今となっちゃ、そんな事はどうでもよくなっていた。
そういうや、凛がコレ欲しがってたな……やりはしなかったが。
11時、35分……。
何時間ここで呆けていたのだろうか。
とにかく、この場所に今まで誰も来なかったのは、幸運だったというべきだろう。
俺は地図を傍らに置くと、デイバッグに手を突っ込む。
ごとり、と重たい単調な作りの金属の感触だった。
俺は、それを取り出すと、木製の取ってを持ち一振りした。
肉厚のある刃、というよりも鈍器と言い換えた方がしっくりくるか。
それは”斧”だった。
その支給武器に対する俺の正直な感想は、戦えない事もない。
龍光ほどではないが、自分も野球部ではそこそこの成績を持っている。
運動神経には、それなりの自信があるんだ。
銃火器を持った相手さえ避ければ、俺なら、かなり戦えるんじゃないか?
それが俺の感想だった。
すぐに行動を起こさなかった為に、かなり頭も冴えてる気がする。
運が向いてきてる気がする。
「死にたく……ねぇからな。
はは、勝ち残ってやるよ、こんな場所で死んでたまるか」
俺は、ポケットから髪止め用の輪ゴムを取り出し、伸ばしたロン毛を後ろ手に縛った。
それは、俺がいつも野球の試合の時にするスタイル。
【如月進】《所持品》手斧 《場所》C-8公園
最終更新:2015年01月30日 15:52