~第21話 天然素材
薪条 翼は、ゆっくりと辺りを見回す。
彼のいる場所は、E-9の草原地帯にあった雑木林の中。
その中で、周辺を見渡せるように息を潜めているのが翼だった。
「なんてこったい……まさかプログラムに参加する事になっちまうとはな……中二じゃないからって油断していたぜ。
取り敢えず、俺はBR関係者どもに恨みがあるから、これは所謂チャンスかもしれないぜ」
取り敢えず、まずは武器の確認だ。
俺は、支給されたデイバッグをこじ開けて、戦力の確認をする事にした。
出てきたのは、ノートパソコン。
「こんなもんで戦えるかよ!」
俺は、ノートパソコンをデイバッグの中へと押し込んだ。
「ちきしょう……だが、俺にはサッカーで鍛え上げた自慢の脚力がある……フットワークには自信があるし、何とかなるだろう!」
俺は足元に転がっていた手頃な木の棒を拾い上げる。
丸腰よりはましだろう、そう思って、木刀サイズの中々頑丈そうな木の棒で素振りをしてみた。
ぶんぶんと、心地よい音が聞こえる。
「よっしゃ、行くぜ! 待ってろよ、馬鹿教官ども! あと、ゲームに乗った馬鹿どももついでに、ボコボコにしてやるぜ!」
俺は、かつてプログラムの反対運動を行い、政府に抹殺されてしまった親友の仇を取る事を胸に誓うのだった。
【薪条 翼】《所持品》木刀サイズの棒きれ 《場所》E-9 草原地帯にある雑木林
最終更新:2015年01月30日 15:53