21話


「よう、お前ら・・相変わらず三人仲がいいな」
男子19番 螺川 旋(らがわ せん)が女子12番 野村 澄子(のむら すみこ)、女子13番 浜本 りな(はまもと りな)、女子16番 美作 不二子(みまさか ふじこ)の三人に近寄っていく。
「螺川くんも無事みたいね」
「ああ、勿論だ。そう簡単に、くたばってたまるかよ」
「うふふ、私達、脱出経路をさがしてるんですが、螺川くんも手伝っていただけませんか?」
「脱出?」
「そう、こんな糞ゲームに乗って殺し合いだなんて、馬鹿げてるわ!」
螺川は、二人の意見を聞くと、少しだけ沈む夕日を見て頷いた。
そんな螺川を、りさが黙って見ていた。
「そうか・・・ところで、お前ら、さっきの放送聞いたか?」
「・・・ええ、聞いたわ」
クラスメイト内で、殺し合いが起きたことを考えたのであろう、次第に雰囲気が暗くなっていく。
「螺川・・・」
先ほどまで黙っていた、りさが口を開く。
「あんたさあ、ちょっと血生臭いわよ?」
「ら、螺川くん? その服・・・」
夕日の所為で気付かなかったが、よく見ると、螺川の袴は、どす黒い赤の斑点模様に彩られていた。
「そりゃそうだ。御堂と布川・・・殺ったの、俺だ」
言い終わるより先に、螺川が刀に手をかける。

だが、それより先に、りなが螺川の襟首を掴んだ。
「とったァーーーーーー!!」
「!?」
風の唸るような轟音と共に、螺川が宙を舞う。
刀が彼の手から離れた。
「くっ」
しかし、かろうじて螺川は、蛙の様な姿勢で受身をとり、衝撃を吸収する。
「りなは、柔道三段で、無茶苦茶強いんだから!」
「ちゃうわ!四段じゃあぁッらァァアア!!!」
獣のような咆哮をあげ、りなのつま先が螺川のみぞおちを狙う。
だが、体制を立て直した螺川は、それを受け流し、距離を開け、りなと対峙した。
身長175の螺川に対し、りさは、181。横幅は、りさの方が一回り上である。
「ひゅう・・・ビックリした。つええな、浜本」
「フゥーーッ! フゥーーッ!」
息を荒くし、興奮した、りなを前に、螺川は、ひょうひょうと言い放った。
「螺川くん! 動かないで!」
「あ?」
螺川が目を向けると、澄子と不二子が銃を向けていた。
「ハッ、いいのかよ! 今撃ったら、浜本にも当たるぜ!」
「不二子!澄子!何かあったら、あたしに構わず、螺川を撃つんだわよ!」
「おー、おー! 格好いいナァ? 浜本ォ!! まるでサムライじゃないか! オラァ! こっちゃ素手だぜ! 来いよ! ああ?!」
螺川は、両手を広げ、素手をアピールする。
一瞬で距離を詰め、螺川の襟首を掴み、再び投げの体制に入ろうとした。
「ばーか」
「え!?」
だが、宙を回ったのは、りなの方だった。
ドォオン! という音と共に、りさが倒れた。
「ッ――ぐ、ガフッ、ゲフッ・・・」
「投げる瞬間に、てめぇの腕の関節外したからな、受身なんて、とれねーよ」
螺川は、無造作に銃を取り出すと、りなの額に向け引き金を引いた。
そして、呆気にとられてる不二子と澄子を余所に、りなを抱え上げ、不二子に向けて、走り出した。
りなの身体を弾除けにつかっているのだ。
「ふ、不二子! 逃げて!」
刀を蹴り上げ、そのまま脇に挟んだ。
押し付けるように、りさの躯を投げつけると、刀を抜く。
りなの巨体ごと、不二子の胴が分断された。

「螺川ァァァ!!」
澄子は、螺川に銃口を向ける。
「・・・・」
螺川も刀を投げ捨て、銃を向け返すと、少し困ったような顔をした。
「こんなに潮風がきついと、刀が錆びちまうな・・・」
「こ、ころしてやる!!」


女子13番 浜本 りな(はまもと りな) 死亡
女子16番 美作 不二子(みまさか ふじこ) 死亡  残り28人
最終更新:2012年01月04日 16:51