11s2

実数x の小数部分を, 0≦y<1かつx − yが整数となる実数y のこととし, これを記号\langle x\rangle で表す。
実数a に対して, 無限数列\{a_n\}の各項a_n (n =1, 2, 3, …)を次のように順次定める。
(i) a_1 = \langle a\rangle
(ii) a_n \neq 0 のとき, a_{n+1}=\left\langle\frac{1}{a_n}\right\rangle
a_n = 0 のとき, a_{n+1}=0
(1) a = \sqrt{2} のとき, 数列\{a_n\}を求めよ。
(2) 任意の自然数n に対してa_n=aとなるような\frac{1}{3}以上の実数a をすべて求めよ。
(3) a が有理数であるとする。a を整数p と自然数q を用いてa=\frac{p}{q}と表すとき, q以上のすべての自然数n に対して, a_n=0 であることを示せ。

(1)
a_n=\sqrt{2}-1であることを数学的帰納法で示す.
a_1=\langle\sqrt{2}\rangle=\sqrt{2}-1
a_k=\sqrt{2}-1のとき,
a_{k+1}=\left\langle\frac{1}{a_k}\right\rangle=\left\langle\sqrt{2}+1\right\rangle=\sqrt{2}-1
となり,k+1でも成立.
(2)
a=a_1=\langle a\rangleより0\leq a<1
a\geq\frac{1}{3}より\frac{1}{a}\leq3であるから,
a=a_2=\left\langle\frac{1}{a}\right\rangle=\frac{1}{a} , \frac{1}{a}-1 , \frac{1}{a}-2.
\frac13\leq a<1を満たすのはa=\sqrt{2}-1,\frac{\sqrt{5}-1}{2}
このとき確かに任意の自然数nについてa_n=aとなる.
(3)
aが有理数のときa_nは正の有理数なので自然数q_np_nを用いてa_n=\frac{p_n}{q_n}とおく.
a_q\neq0と仮定する.
a_nの定義よりq_1=qp_n&lt;q_n.また,n<qでq_{n+1}=p_nである.
q=q_1\geq q_2+1\geq\cdots\geq q_q +q-1&gt;p_q+p-1これよりp_q=0となり矛盾.
これよりa_q=0であるが,定義よりq以上のすべての自然数nに対してa_n=0
最終更新:2011年10月20日 15:29