k93s6

f,gをそれぞれ行列\begin{pmatrix}1&1\\0&-1\end{pmatrix},\begin{pmatrix}-1&0\\1&1\end{pmatrix}の表す1次変換とする.以下では一般に1次変換a,bの合成b\circ aを簡単にbaと記す.また,aaをa^2,aaaをa^3と書く.
(1)f^2=g^2=(gf)^3=iを示せ.ただし,iは恒等変換,すなわち任意の点をそれ自身に移す変換である.
(2)変換f,gf,fgf,gfgf,fgfgfは,変換g,fg,gfg,fgfg,gfgfgをある順序に並べ替えたものである.後者の5つの変換はそれぞれ前者の5つのどれと等しいか.
(3)3点{0\choose0},{1\choose0},{0\choose1}を頂点とする三角形をΔとする.Δをf,gで繰り返し変換して得られるすべての三角形の和集合を図示せよ.

(1)
所与の行列をそれぞれA,Bとする.A^2=B^2=(BA)^3=E (E:単位行列)を示せばよく,
ケイリーハミルトンの定理よりA^2-E=OB^2-E=Oである(O:零行列).
また,BA=\begin{pmatrix}-1&-1\\1&0\end{pmatrix}であるからケイリーハミルトンの定理より(BA)^2+BA+E=O
これに左からBA-Eを掛けて(BA)^3-E=O
以上よりA^2=B^2=(BA)^3=Eであるから示された.
(2)
g=ggfgfgf=fgfgf.
これにfを作用させてfg=ffgfgf=gfgf,
これにgを作用させてgfg=ggfgf=fgf,
これにfを作用させてfgfg=ffgf=gf,
これにgを作用させてgfgfg=ggf=f.
(3)
Δをf,gで繰り返し変換して得られる三角形は,f^2=g^2=iより,Δにfとgを交互に作用させたものとして表せる.
ここで,(2)よりg=fgfgfであることから,すべてのこのような三角形はまず最初にΔをfで変換したものとして表せる.
従って,f,gf,fgf,gfgf,fgfgf,gfgfgf,fgfgfgf,…で変換したものであるが,(gf)^3=iよりfgfgfgf=fなのでこれ以降は新しい三角形は得られない.
つまり,求める和集合はΔをf,gf,fgf,gfgf,fgfgf,gfgfgfで変換して得られる三角形の和集合.
この変換により,{0\choose0}は不変,
{1\choose0}{1\choose0},{-1\choose1},{0\choose-1},{0\choose-1},{-1\choose1},{1\choose0}
{0\choose1}{1\choose-1},{-1\choose0},{-1\choose0},{1\choose-1},{0\choose1},{0\choose1}
に移るので,求める和集合は以下のとおり.
(図省略.|x|≦1かつ|y|≦1かつ|x+y|≦1の領域.)
最終更新:2013年10月11日 05:54