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a,b,c,dを整数とし,行列A=\begin{pmatrix}a&b\\c&d\end{pmatrix}を考える.\begin{pmatrix}a_0&b_0\\c_0&d_0\end{pmatrix}=\begin{pmatrix}1&0\\0&1\end{pmatrix}とし,自然数nに対してA^n=\begin{pmatrix}a_n&b_n\\c_n&d_n\end{pmatrix}とする.このとき,
(1)n≧0について,c_{n+2}-(a+d)c_{n+1}+(ad-bc)c_n=0を示せ.
(2)pを素数とし,a+dはpで割り切れないものとする.ある自然数kについて,c_kc_{k+1}がpで割り切れるならば,全てのnについてc_nはpで割り切れることを示せ.

(1)
ケーリーハミルトンの定理よりA^2-(a+d)A+(ad-bc)E=0であり,これにA^nを掛けてA^{n+2}-(a+d)A^{n+1}+(ad-bc)A^n=0.両辺の1行1列成分を比較して求める式を得る.
(2)
(i)n≧kの範囲
あるjについてc_jc_{j+1}がpで割り切れるとすると,(1)にn=jを代入したものよりc_{j+2}もpで割り切れる.
c_kc_{k+1}がpで割り切れるので,数学的帰納法によりn≧kなるnについてc_nはpで割り切れる.
(ii)n<kの範囲
c_0=0は割り切れる.
ある1≦j<kについてc_jがpで割り切れず,c_{j+1},c_{j+2}がpで割り切れるとする.
(1)にn=jを代入したものより,ad-bcはpで割り切れる.
(1)にn=j-1を代入したものより,(a+d)c_jはpで割り切れるが,a+dはpで割り切れないのでこれは仮定に反する.
従ってn<kなるnについてc_nはpで割り切れる.

(i)(ii)より示された.
最終更新:2013年10月13日 06:47