k95s1

行列\begin{pmatrix}a&b\\0&a\end{pmatrix}で表される1次変換をfとする.平面上の1点をP,原点をOとする.\vec{OP}のfによる像を\vec{OQ},x軸に垂直で点Qを通る直線とx軸の交点をRとする.点PがOに一致しない範囲を動くとき,
\frac{|\vec{OR}|}{|\vec{OP}|}の最大値が2,\frac{|\vec{OQ}|}{|\vec{OP}|}の最大値と最小値の比が3
となるようにa,bの値を定めよ.

\vec{OQ}={ax+by\choose ay}\vec{OR}={ax+by\choose 0}であるから,
(\frac{|\vec{OR}|}{|\vec{OP}|})^2=\frac{(ax+by)^2}{x^2+y^2}\leq a^2+b^2であり,
(x,y)=(ak,bk)のとき等号は成立するので最大値は\sqrt{a^2+b^2}
これが2^2に等しいのでa^2+b^2=4

(\frac{|\vec{OQ}|}{|\vec{OP}|})^2=\frac{(ax+by)^2+(ay)^2}{x^2+y^2}
これの最小値をm,最大値をMとする.M=9mである.
ここで,a=0と仮定すると,(x,y)=(1,0)とするとOQ=0となるからm=0となり最大値と最小値の比が3にならない.
従ってa≠0.
\frac1{a^2}\begin{pmatrix}a&-b\\0&a\end{pmatrix}で表される1次変換をgとすると,gはfの逆変換なので,
(\frac{|\vec{OP}|}{|\vec{OQ}|})^2=\frac1{a^4}\frac{(ax-by)^2+(ay)^2}{x^2+y^2}
これの最大値は\frac1{m}であり\frac{M}{a^4}でもあるから,M=3a^2

y=0のとき,(\frac{|\vec{OQ}|}{|\vec{OP}|})^2=a^2であるから,これは最大にならない.
従って,y≠0でこれを最大とするような(x,y)が存在する.
y≠0のときt=\frac{ax}yとおくと,
(\frac{|\vec{OQ}|}{|\vec{OP}|})^2=\frac{(t+b)^2+a^2}{(\frac{t}{a})^2+1}\leq 3a^2
これより(t+b)^2+a^2\leq3(t^2+a^2)つまり2t^2-2bt-b^2+2a^2\geq0
等号が成立するtが存在することから,(左辺)=0をtについての二次方程式とみなし,判別式をDとおくとD=0.
つまり,0=\frac D4=b^2-2(-b^2+2a^2)=3b^2-4a^2
12=3(a^2+b^2)=7a^2よりa=\pm\frac{2\sqrt{21}}7b=\pm\frac{4\sqrt7}{7}(複号任意).
最終更新:2014年01月24日 08:55