(1)平面ベクトル

,

から2行2列の行列

をつくる.

,

のどの一方も他方の実数倍でないとき,Pは逆行列をもつことを示せ.
(2)

は単位行列の実数倍でないとする.このとき,設問(1)のようにして作ったPが逆行列

をもち
が成り立つようなベクトル

,

があることを示せ.
(3)

は単位行列の実数倍ではなく,

も単位行列の実数倍ではないとする.
A,A'が
a+d=a'+d',ad-bc=a'd'-b'c'
をみたせば,

となるPがあることを示せ.
(1)
Pが逆行列を持たないとき,

であるから,

より一方が他方の実数倍となる.
この対偶も成り立つので示された.
(2)

とおく.

に左からBを掛けて

であるから,
設問(1)のようにPを作れば

…(*).
ここで,

であり,
Bが単位行列の実数倍ではない,つまり零行列ではないので,c,b,pのうち0でないものが存在する.
従って適切な

をとればdetP≠0となるようにでき,このとき

が存在する.

を(*)に左からかければ

となる.
(3)
Aは単位行列の実数倍ではないから,

も単位行列の実数倍ではない.

とおくと,

.
(2)の結果よりあるQについて

.
A'についても同様にp'を定義すればある行列Q'が存在し,

となる.
ここで

であり,a+d=a'+d'であるから

.
左からQ',右から

をかけると

である.
ここで,

なので

だから,

とおけば

となる.
最終更新:2013年10月15日 16:28