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(1)平面ベクトル\vec{x}={x_1\choose x_2}\vec{y}={y_1\choose y_2}から2行2列の行列P=\begin{pmatrix}x_1&y_1\\x_2&y_2\end{pmatrix}をつくる.\vec{x},\vec yのどの一方も他方の実数倍でないとき,Pは逆行列をもつことを示せ.
(2)B=\begin{pmatrix}p&b\\c&-p\end{pmatrix}は単位行列の実数倍でないとする.このとき,設問(1)のようにして作ったPが逆行列P^{-1}をもち
P^{-1}BP=\begin{pmatrix}0&p^2+bc\\1&0\end{pmatrix}
が成り立つようなベクトル\vec x\vec yがあることを示せ.
(3)A=\begin{pmatrix}a&b\\c&d\end{pmatrix}は単位行列の実数倍ではなく, A'=\begin{pmatrix}a'&b'\\c'&d'\end{pmatrix}も単位行列の実数倍ではないとする.
A,A'が
a+d=a'+d',ad-bc=a'd'-b'c'
をみたせば,P^{-1}AP=A'となるPがあることを示せ.

(1)
Pが逆行列を持たないとき,0=\det P=x_1y_2-x_2y_1であるから,x_1:x_2=y_1:y_2より一方が他方の実数倍となる.
この対偶も成り立つので示された.
(2)
\vec y=B\vec xとおく.\vec y=B\vec xに左からBを掛けてB\vec y=(p^2+bc)\vec xであるから,
設問(1)のようにPを作ればBP=P\begin{pmatrix}0&p^2+bc\\1&0\end{pmatrix}…(*).
ここで,\det P=x_1(cx_1-px_2)-x_2(px_1+bx_2)=cx_1^2-2px_1x_2-bx_2^2であり,
Bが単位行列の実数倍ではない,つまり零行列ではないので,c,b,pのうち0でないものが存在する.
従って適切な\vec xをとればdetP≠0となるようにでき,このときP^{-1}が存在する.
P^{-1}を(*)に左からかければP^{-1}BP=\begin{pmatrix}0&p^2+bc\\1&0\end{pmatrix}となる.
(3)
Aは単位行列の実数倍ではないから,A-\frac{a+d}2Eも単位行列の実数倍ではない.
p=\frac{a-d}2とおくと,A-\frac{a+d}2E=\begin{pmatrix}p&b\\c&-p\end{pmatrix}
(2)の結果よりあるQについてQ^{-1}AQ-\frac{a+d}2E=Q^{-1}(A-\frac{a+d}2E)Q=\begin{pmatrix}0&p^2+bc\\1&0\end{pmatrix}
A'についても同様にp'を定義すればある行列Q'が存在し,
Q'^{-1}A'Q'-\frac{a'+d'}2E=\begin{pmatrix}0&p'^2+b'c'\\1&0\end{pmatrix}となる.
ここでp^2+bc=(\frac{a+d}2)^2-(ad-bc)=(\frac{a'+d'}2)^2-(a'd'-b'c')=p'^2+b'c'であり,a+d=a'+d'であるからQ^{-1}AQ=Q'^{-1}A'Q'
左からQ',右からQ'^{-1}をかけるとQ'Q^{-1}AQQ'^{-1}=A'である.
ここで,(QQ'^{-1})(Q'Q^{-1})=EなのでQ'Q^{-1}=(QQ'^{-1})^{-1}だから,
QQ'^{-1}=PとおけばP^{-1}AP=A'となる.
最終更新:2013年10月15日 16:28