k96s5

xy平面上の正三角形△ABCを考える.△ABCの重心は原点Oにあり,ベクトル\vec{OA}の長さは1とする.△ABCの内部または辺上の点P_0に対し,3頂点A,B,Cから1点を等確率で選び,この頂点とP_0の中点をP_1とする.次に点P_1に対し同様の操作を行い得られた点をP_2とし,以下この操作を繰り返して,点P_3,P_4,\ldots,P_nを作る.ベクトル\vec{OP_n}の長さの2乗|\vec{OP_n}|^2の期待値をE_nとおく.
(1)E_1をベクトル\vec{OP_0}の長さを用いて表せ.
(2)選んだ頂点がX_1,X_2,\ldots,X_nのとき,ベクトル\vec{OP_n}をベクトル\vec{OP_0}\vec{OX_i} i=1,2,…,n,を用いて表せ.
(3)P_0が原点OのときE_nを求めよ.

(1)
E_1=\frac13(|\frac{\vec{OP_0}+\vec{OA}}2|^2+|\frac{\vec{OP_0}+\vec{OB}}2|^2+|\frac{\vec{OP_0}+\vec{OC}}2|^2)
=\frac{|\vec{OP_0}|^2}4+\frac13\vec{OP_0}\cdot(\vec{OA}+\vec{OB}+\vec{OC})+\frac{|\vec{OA}|^2}{12}+\frac{|\vec{OB}|^2}{12}+\frac{|\vec{OC}|^2}{12}
=\frac{|\vec{OP_0}|^2+1}4
(2)
\vec{OP_n}=\sum_{k=1}^n\frac{\vec{OX_k}}{2^{n+1-k}}+\frac{\vec{OP_0}}{2^n}であることを数学的帰納法で示す.
n=0のときこれは成り立つ.
あるmに対しn=mのときこれが成り立つと仮定する.
\vec{OP_{m+1}}=\frac{\vec{OP_m}+\vec{OX_{m+1}}}2=\sum_{k=1}^{m+1}\frac{\vec{OX_k}}{2^{m+2-k}}+\frac{\vec{OP_0}}{2^{m+1}}となりn=m+1のときも成り立つ.よって示された.
(3)
P_0が原点Oのとき,E_0=0
(1)と同様の計算により,E_{n+1}=\frac{E_n+1}4
これよりE_{n+1}-\frac13=\frac14(E_n-\frac13)=\cdots=\frac1{4^{n+1}}(E_0-\frac13)=-\frac1{3\cdot4^{n+1}}
従ってn>0でE_n=\frac13(1-\frac1{4^n})であるが,これはn=0でも成り立つ.
最終更新:2014年01月24日 08:31