k85s2

平面上の3点A,B,Cと一次変換fについて,下の3条件①,②,③を仮定する.
①A,B,Cは同一直線上にはなく,また原点Oは三角形ABCの内部には属さない.
②3点A,B,Cのfによる像は,全体として3点A,B,Cに一致する.すなわち{f(A),f(B),f(C)}={A,B,C}
③fは恒等変換ではない,すなわちf≠E
このとき,3点A,B,Cのうちfによって動かないものは,1つあって,1つに限ることを示せ.

単位行列をI,変換行列をM,\vec{a}=\vec{OA},\vec{b}=\vec{OB},\vec{c}=\vec{OC}とおく.
3点A,B,Cのうちfによって動かないものが1つのみでないとして矛盾を導く.
[1] 動かないものが2つ以上のとき
f(P)=P (P=A,B,C)であり,
M\vec{p}=\vec{p}(M-I)\vec{p}=\vec{0} (\vec{p}=\vec{a},\vec{b},\vec{c})であるが,
\vec{a},\vec{b},\vec{c}のうち2つ一次独立のものをとれるのでM=Iとなり③に反する
[2] 動かないものがないとき
f(A)=B,f(B)=C,f(C)=A or f(A)=C,f(B)=A,f(C)=B.
f(f(f(P)))=P (P=A,B,C)なので,(i)と同様にM^3=I
ケーリーハミルトンの定理よりM^2-tM+dI=0と書け,その左辺でM^3-Iを割った余りはMの1次以下の式kM+lIとなる.
(i)k≠0のとき
M=\frac{l}{k}IM^3=IよりM=Iとなるので③に反する
(ii)k=0のとき
l=0であるからM^3-I=(M-I)(M^2+M+I)M^2-tM+dIで割り切れる.したがってM^2+M+I=0
このとき\vec{0}=(M^2+M+I)\vec{a}=\vec{a}+\vec{b}+\vec{c}なので
\vec{AO}=\frac{1}{3}(\vec{AB}+\vec{AC})よりOが三角形ABCの内部にあることになり①に反する.
以上より示された.
最終更新:2013年09月23日 02:41