X線(X-ray):
- 波長1pm~10,000pm(10億分の1mm~10万分の1mm)の電磁波。放射線の一種。
経緯:
- ドイツのヴィルヘルム・レントゲンが1895年11月8日に発見。
- レントゲンはこの電磁波に数学の未知数を表すXを冠してX線と命名している。
- 一般的にはレントゲンの名前を取ってレントゲン線と呼ばれている。
特徴:
- 波長の取り得る領域(エネルギーの取り得る領域)がγ線のそれと一部重なっている。
- X線とγ線との区別が波長ではなく、発生機構によるため。
- 波長からX線かγ線かを特定することは出来ない。
遷移起源による分類:
- 軌道電子の遷移を起源とするものをX線。
- 原子核内のエネルギー準位の遷移を起源とするものをγ線と呼ぶ。
発生方法:
電子の励起準位によるもの:
- 例えば、対陰極として銅、モリブデン、タングステンなどの標的に、加速した電子ビーム(30keV程度)を照射して原子の1s軌道の電子を弾き飛ばす。
- すると空になった1s軌道に、より外側の軌道(2p、3p軌道など)から電子が遷移してくる。
- この遷移によって放出される電磁波がX線(特性X線)と呼ばれるものである。
- この際、軌道のポテンシャルエネルギーの差で電磁波の波長が決まるため、どのような波長のX線でも出てくる訳ではない。
- 加速電圧(管電圧)と電子流による電流(管電流)からくる消費電力の1%程度だけがX線に転換される。
- 電子線の電力の99%が対陰極の金属塊を熱することになり、実験をするには冷却が重要になる。
このようなX線を発生させる装置として下記の様なものがある。
- X線管(X線管の中でも分析管と呼ばれるものは特性X線を用いる)
- クルックス管
運動エネルギーによるもの:
- 加速度運動(電子を対陰極で急激に制動させたり、磁場により運動方向を変更したりするなど)をするとX線が放射される(制動放射)。これは制動X線と呼ばれる。
- 特定のスペクトルを示さず白色X線と呼ばれる。
このようなX線を発生させる装置として下記の様なものがある。
熱によるもの:
レーザーで高温のプラズマを発生させ、超短パルスのX線を発生させたり、X線レーザー発振の研究が行われいる。
- 高温のプラズマ
- ブラックホールに落下し加熱されたガス
トリボルミネッセンス:
- セロハンテープのロールを一定の速さで剥がすことにより発生するもの。
- トリボルミネッセンスの一種であるが、X線の発生について摩擦学の理論では十分な説明が出来ていない(2008年時)。
- 1950年代には旧ソ連の科学者たちがX線の領域でパルスが発生することを突き止めている。
- 2008年にUCLA(米カルフォルニア大学ロサンゼルス校)のチームが、真空中でセロハンテープを秒速30mmの速さで剥がすことでX線撮影が可能な強度のX線が発生したことを観測し、ネイチャー誌に発表している。
用途:
- 医療分野(X線写真撮影、CTスキャン)
- 非破壊検査(材料内部の損傷探索)
- X線回折(物性物理学分野では結晶構造解析の手段として用いられる)
種類:
超軟X線(Ultrasoft X-ray):
- エネルギーが非常に低いX線(0.01keV程度、紫外線に近い)
軟X線(Soft X-ray):
- エネルギーが低くて透過性が弱いX線(0.1keV~2keV程度)
X線(X-ray):
硬X線(Hard X-ray):
- エネルギーが高く透過性の強いX線(20keV~100keV)
- 波としての性質よりも粒子としての性質を強く示すようになる。
最終更新:2011年12月19日 23:58