私はブルドックソースとスティルパートナーズの新株発行の事例から
過度の買収防衛策は企業価値の損失につながると考える。
具体的な定款上における買収防衛策の導入は経営陣の保身ととられかねない
有能な経営者であれば、敵対的買収によっても更迭されることはないはず。
ブルドックソースの事例からわかる事実
- 純利益が4~6億円しかでないブルドックソースが23億円も現金で渡す
- ブルドックの含み資産は約100億円ある
事例:ブルドックソース
買収防衛策によって利益が失われ、成長力がなくなる。
では、どうすればいいか。安定株主を増やすことが最大の買収防衛策になると考える。
そのためには時価総額をあげる。
⇒経営の頑張って利益を確保する
配当を増やす。
自社株外をするなど
メモ
もっとも上策なのは戦争をせずに勝つこと。つまり相手方に戦争をけしかけるような気持ちを持たせないこと(最善の勝利は戦わず して勝つこと:戦わずして人の兵を屈するは、善の善なる者なり)」という文言がある。買収を検討したファンドや投資家らに「多くの株主が満足している。こ れではいくらプレミアをつけても買収に成功しそうにもないな」と思わせる体制作りとサービスの提供こそが、任天堂の真の買収防衛策ではないのだろうか。
日本の株式市場では、買収防衛策が流行のようであるが、株主平等の原則から考えても、資本市場の流動性促進という側面から見ても、経営陣の保身以外には対して大きなメリットは無く、むしろ、デメリットばかりが数多く存在する気がする。
いったい、日本の資本主義はどうなっているのか、世界の七不思議である。世界の投資家を無視した自分勝手な内輪の論理がどこまで通用するのか。
このままの流れだと、最高裁でも、買収防衛策が認められるのであろうか?
最高裁が、世界中の投資家が、納得のいく、明確な基準が無いままに、グリーンメーラーの認定をし、今までと同じ結論を出すとしたら、日本の資本市場に与えるマイナスのインパクトは計り知れないように思う。
そもそも、優秀な経営陣であれば、買収防衛策などやらなくても、頼むからもっと会社に残って、経営を続けて欲しいと懇願されるものだと思う。
自らの意思にそぐわない株主を排斥しようとする買収防衛策は、そういう自らの経営能力に自信が無い経営陣が考える姑息な手段のように思う。
司法がどこまで資本市場の本質に迫れるか、見ものである。
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ブルドック株、売買不成立続く
10日の東京株式市場で、ブルドック株が825円まで売り気配値を切り下げた。取引が成立しないのは3営業日連続で、最後に取引が成立した5日 終値(1365円)と比べて約4割下落。新株予約権発行に伴う1株利益の希薄化や企業価値向上に対する不透明感を嫌気し、個人などの売り注文が殺到してい る。
企業、投資家のぬるい均衡点【I】~ エージェンシーコストと「モノいわない投資家」の関係 ~
July 30, 2007 3:31 PM written by
こんにちは。ロベルト本郷です。
この2週間、ニュースがたくさんあって、しかも決算期に入っていたためブログ更新が遅れてしまいました。いかんいかん。日曜の夜、Van Halenを聴きながらこれを書いているので、途中でハイになってしまったらどうしよう・・・(ロック聞いて仕事って、おじさんクサイのですかねぇ?)
さて、今日は最近話題の「アクティビスト投資」についてです。
スティールパートナーズのブルドックソースに対するTOBと買収防衛策発動
ダヴィンチアドバイザーズのテーオーシーに対するTOBの失敗
村上ファンド代表の有罪判決
上記の例などからわかるように、最近「モノいう投資家」がしばかれるのが相次いでいますね。
そこでこのブログでは何回かに分けてこれらのニュースを読み解いていきたいと思います。第1回目はスティール=ブルドックのケースです。
■ 事実
スティールパートナーズは2002年からブルドックソースに投資していた
買収防衛策導入は株主総会で可決している
買収防衛策の差し止め訴訟は地裁、高裁ともに退けられ、現在最高裁で争われることに
しかし、防衛策自体は発動され(世界初!)、スティールは持分が10%→3%に減ってしまったが、23億円のCashをGet!
■ ブルドック防衛策 高裁決定 要旨
【スティールパートナーズについて】
『様々な策を弄して、もっぱら短中期的に対象会社の株式を転売することで売却益を獲得しようとし、対象会社の資産処分まで視野に入れてひたすら自らの利益を追求しようとする存在といわざるを得ない』
『いたずらに相手方に不安を与えている』
『企業価値ひいては株主共同の利益を毀損するものとして信義誠実の原則に抵触する』
【ブルドックの買収防衛策について】
『手続き的な観点から少なくとも株主総会の特別決議を経て導入されたものである』
『スティールパートナーズは新株予約権の譲渡により、予約権1個につき396円の交付を受けることが予定されており、過度の財産的損害を与えるものとはいえない』
『本件においてはこの価格(予約権1個396円)より低額であったとしても買収策としての相当性を欠くものではないとの評価も考えられる』
■ 考察
純粋に「投資」という観点では、スティールパートナーズは大勝利だったというのが僕の意見です。
当初10~20億円の投資に対して、23億円の現金と今や600億円の時価総額の3%の持分もあるというおいしさ(ちょっとはずれますが、防衛策が 発動されて新株予約権が発行されるだけで時価総額が変わらないはずなのに時価総額が3倍になっているブルドックソースは謎杉)。
反面、年間で純利益が4~6億円しかでないブルドックソースが23億円も現金で渡すなんて、なんと太っ腹なんでしょう。ブルドックの含み資産は約100億円あるそうですから、あと3回誰かがしかけられるワケですね。
裁判所は本来、防衛策の導入プロセスがフェアであったかのみを判断すべきだと思うのですが、スティールを『様々な策を弄して、もっぱら短中期的に対 象会社の株式を転売することで売却益を獲得しようとし、対象会社の資産処分まで視野に入れてひたすら自らの利益を追求しようとする存在といわざるを得な い』と断じるなど、めちゃくちゃ踏み込んでます。
5年持っている株主を「ひたすら短中期の転売」って・・・通常、機関投資家の年間回転率は100%前後(つまり、1年で持ち株が総入れ替わりするということ)ですから、機関投資家は全員「転売者」になるのかな?
次は「そもそもアクティビスト投資って何よ?」ってことを書いていきたいと思います。
大台といわれていた5万円をあっさりと突破し、今や日本国内企業の時価総額では【NTTドコモ(9437)】についで第9位のポジションを占めている【任天堂(7974)】。7月24日終値の54900円ベースでは時価総額7兆7776億2800万円という計算になる。その任天堂が買収防衛策について「色々と手を打っている」ことが明らかになった。
これは7月20日付けの日経新聞内コラム記事「回転いす」で任天堂社長の岩田聡社長がインタビューの中で答えていたもの。定款(各企業における「憲法」みたいなもの)などに明記する形での具体的な買収防衛策の導入を任天堂はまだ行っていないが、「有事への対応をきちんとしておけば(特別な防衛策がなくても)十分対応は可能」とコメント。何らかの手立てを打っていることを明らかにした。
【謎の投資ファンド「スティール・パートナーズ」とはその2+三角合併について】にもあるように関連法令の改正で、三角合併による吸収合併が行われやすいようになった日本企業だが、その他にも金融商品取引法の施行で株式公開買い付け期間も延長され、買収提案内容を企業側がチェックする時間が確保できるようになったのもコメントの余裕の現れの一因。
ただ、今年に入ってから相次いで上場企業が導入している買収防衛策の導入について任天堂では「経営陣の保身ととられかねない」と岩田社長は発言し、具体的な定款上における買収防衛策の導入は行わない方針を明確にした。しかし「ノーガード戦法」というわけではなく「色々と手は打った」とも語っている。もちろんその秘策の中身は明かされなかったとのこと。
【楽天(4755)】と【TBS(9401)】の議決権争いから分かるように、買収防衛を確かなものとするためには、20%以上の議決権を特定(敵性)勢力に握られなければよい。【ブルドックソース(2804)】が実施したように「有事の際の第三者割当増資をして水増しし、特定勢力の議決権を薄める」手法を用いないとするのなら、普段から安定株主を増やしておく必要がある。
●優待制度の新設か?
一番単純明快なのは【株主優待制度充実へ・過去最高、買収防衛の側面も】にもあるように、株主優待や配当を充実し、株主ロイヤリティ(忠誠度)を高めること。特に個人株主に対しては有効で、多くの企業が優待を「買収防衛策の一環」として導入している。
幸いにも任天堂にはまだ優待制度は設けられていない。いざとなれば「1株以上で特別色のDS Liteか対応ソフトを、5株以上でWiiか対応ソフトを」などといった優待制度を新設すれば、個別株主はどんな買収策が持ち上がっても手持ちの株を売る ことはしないだろう。ただ、任天堂の株主構成を見ると、浮動株数はわずか5.2%しかない。この手はあまり有効ではなさそうだ。
●株価の高値安定か?
次に考えられるのは(間接的な手法だが)株価を高めること。株価が高くなれば買収をするにも多額の資金が必要になる。仮に今日の終値で20%の任天 堂株式を握るとすれば1.6兆円もの資金が必要になる。TOBともなればプレミアをのせる必要があるから実質的には2兆円は楽に必要だろう。それこそ ウォーレン・バフェットが運営するファンド(30兆円)を相当の割合で動員でもしない限り、20%はおろか10%の確保すら難しいかもしれない。
株価を高値で安定させるためには、株主に売りたくないと思わせること、あるいは投資家に買い集めたいと思わせるのが一番。つまり「ここで任天堂の株 式を売り払うより、手元にもっていた方が安定した業績アップが望めて、ますます儲けられるかも」と投資家に思わせることが肝心となる。これは次の項目とも リンクするお話。
●大株主に対する安心感の付与か?
安定(友好的)株主の存在は、経営サイドにとっても安心して会社運営を行える保険にもなる。任天堂の株主構成は先の浮動株5.2%以外は外国人 43.6%、特定株44.7%、投信4.5%というもの。上位10位の大株主は四季報などで確認できるが、それ以外に結構な割合で海外勢が大株主になって いるのが分かる。
これらの株主を安心させて、「買収勢に議決権を渡すより、現行経営陣に引き続き経営をしてもらうべきだ」と思わせるためには、言葉どおりワールドワ イドに業務を展開していく必要があるだろう。任天堂が世界展開をしているから株主も海外勢が多いのか、株主に海外勢が多いから世界展開を積極的に行ってい るのか、あるいはその双方が相互的になのかは不明だが、日本だけでなく世界に顔を向けた良心的な経営展開は、間接的に大株主に安心感を与え、買収防衛策に もつながる。
また海外勢は優待よりも配当を好む傾向が強い(海外では日本の優待品はほとんど役に立たないから当然)。その観点からすると、配当性向の引き下げや利益の拡大により配当の引き上げも、一つの手かもしれない。
●自社株買いや株の持合か?
任天堂にはファミコン時代からの余剰金が大量に確保されいるのはよく知られた話。最新の四季報では利益余剰金の額は1兆2202億9300万円で無 借金。2%の利回りでも年間25億円が黙っていても入ることになる。毎年あげている利益全体からすれば大した額ではないが、他の企業と比べればそれこそ鼻 血が出そうな額だ。
この余剰金は他企業同様に「まさかの時のため」にキープしてあるもの。しかしこの余剰金を単に現金(やその同等品)として保有し続けるだけでなく、 今後買収防衛策の一環として自社株買いや関連企業との株の持ち合いに使わない可能性がないとはいえない。すでに任天堂は自社株を9.7%保有している。こ の割合が今後増やされることもあるだろう。
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結局のところ買収のアクションをとられる企業の多くは、何らかの「買収されるべき」理由を背負っている。株価が低迷していて「のっとって切り売りす れば大儲けできる」と思われるとか、「経営陣が体たらくで資産を無駄使いしているように見える」などなど、スキが甘いと思われても仕方のない場合も少なく ない。
孫子の兵法にいわく「もっとも上策なのは戦争をせずに勝つこと。つまり相手方に戦争をけしかけるような気持ちを持たせないこと(最善の勝利は戦わず して勝つこと:戦わずして人の兵を屈するは、善の善なる者なり)」という文言がある。買収を検討したファンドや投資家らに「多くの株主が満足している。こ れではいくらプレミアをつけても買収に成功しそうにもないな」と思わせる体制作りとサービスの提供こそが、任天堂の真の買収防衛策ではないのだろうか。
http://www.gamenews.ne.jp/archives/2007/07/9_16.html
- 株主と買収防衛策の関係について調べてみます~! -- よしかな (2007-09-14 01:27:35)
- 論文に起用してみてください~!でもたなけん最後の章ちゃうかったやんね↓ -- よしかな (2007-09-14 01:29:07)
- 確かに理想の防衛策!やけどこれは特例かな?笑 ただ理想としての位置づけとしてはかなりいい事例やと思う。 -- ふみや (2007-09-15 02:52:39)
最終更新:2007年09月15日 02:52