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第3章 M&Aと企業価値について(仮)

3-1企業価値の定義
 M&Aを語る上で考察しなければならないのが、企業価値である。M&Aは企業価値向上のために行われる経営戦略の一環であると私達は考えている。企業価値さえ上昇すれば敵対的M&Aも成り立つという凶暴な意見もある。ではそもそも企業価値とは一体何なのか。
 経済産業省の企業価値研究会によると、企業価値は「会社の財産、収益力、安定性、効率性、成長力等株主の利益に資する会社の属性またはその程度」と定義されている。非常に捉えにくい概念である。このように企業価値の定義も捉えにくく、混乱を招く原因となる。さらに企業価値と似たような言葉に株主価値、事業価値などがある。
 この章では企業価値とは誰にとっての価値なのか、誰によって創造されるのか、そしてどのように企業価値を計るのか、そして株主価値、事業価値との違いについて整理していく。

3-2 日本における企業価値の認識
 では、まず日本において企業価値がどのように認識されているか考察していきたい。日本の多くの会社が「株主価値」より「企業価値」という言葉を好んで用いる。その背景には会社は株主の金儲けのためだけでなく、全ての「ステークホルダー」のために存在している、さらには「公共的指名を背負っている」という価値観があることによるものと考えられる。検証ににあたっては「日本を代表する企業であるということ」と「経営がうまくいっていると推測される企業」が望ましいので日本経済新聞社と日経リサーチが共同開発した多角的企業評価システ「PRISM(プリズム)」の2006年度ランキング上位3社の企業HP(コマツ、キヤノン、トヨタ)より企業価値をどのように捉えているか考察していく。下記に各HPより一部抜粋してまとめて掲載しておく。これらを見てもらえばわかる通りやはり日本企業においては株主・投資家のみならず様々なステークホルダーを重視している様が伺える。とくにコマツなどははっきりと株価をあげるだけでなく、他のステークホルダーも大事にしながら顧客満足度を高めることによって企業価値が向上すると記載されている。

「企業価値の最大化のためには、単に、株価を上げ会社の時価総額を極大化することや、売上げ・利益の増大を目指すことだけでなく、様々なステークホルダー、とりわけお客様の満足度を最大限に追求することにより、企業の価値を継続的に、かつ着実に高めていく仕組みを構築することが重要である。コマツHPより引用」}}「グローバル優良企業グループ構想」におけるキヤノンの目標は、常にイノベーションを喚起し、技術によって産業や社会生活の進歩や発展を支え、「世界で親しまれ尊敬される真のエクセレントカンパニー」となることです。そのためには、グローバル企業としての社会的責任を果たし、サステナビリティを追求することは当然の責務です。

その基盤となるのは、キヤノングループ企業理念「共生」です。「共生」とは、文化、習慣、言語、民族などの違いを問わずに、すべての人類が末永く共に生き、共に働いて、幸せに暮らしていける社会のことであり、まさに「持続的(サステナブル)な繁栄が可能な社会」です。キヤノンの事業領域や活動地域がますます拡大するなか、キヤノンの企業行動にともなうステークホルダーの数も、社会的影響を及ぼす範囲も日々拡大しています。この認識をもとに、ステークホルダーの皆様との信頼関係のさらなる確立に向けた活動に積極的に取り組んでいきます。

なかでも、製品の「品質」や「安全性」は、われわれ製造業にとって最上位テーマの一つです。品質問題がひとたび発生すれば、長年にわたって培ってきた信頼も一瞬にして崩れ去るばかりか、何より多くのステークホルダーの皆様にご迷惑をお掛けすることとなります。品質の重要性を改めて考え、少しの油断やおごりから生まれる品質問題が起こることのないよう、さらなる品質向上活動を推進していきます。」

「当社は世界規模での競争に勝ち抜き、21世紀も「モノづくり」に根ざした社会と調和ある成長を続ける企業として、企業価値の向上に努力していきたいと考えています。」
では、逆に資本主義の原点である米国について見ていこう。米国的な資本主義の世界は確かに株主至上主義だという印象が強い。事実、辞書で企業価値を検索すると「sharehoder value(株主価値)」と訳されてでてくる。米国において企業価値・株主価値という言葉がどのように使われているのか、日本同様に著名な会社のHPから分析してみた。

誰もが知っているであろうエンターテイメント業界の雄、ディズニーが投資家向け情報のページの巻頭に掲げているメッセージは、資料のようになる。
前段ではディズニーという会社の目標を、エンターテイメントと情報分野における世界のリーディングカンパニーになること、と述べている。興味深いのはそれに続けて「当社の主たる財務的ゴールは利益とキャッシュフローを極大化し、成長を牽引する分野へ留保利益を投資して「長期的な株主価値の創造を促すことである」と宣言している点である。
米国で株式を上場している会社は必ずと言っていいほど、「会社が「よき企業市民」として社会に貢献すること」と「投資家(株主)」にとってそれが「株主価値の増大」につながること」を同時に目標に掲げる。前者が日本的にいう企業価値だとするならば、企業価値を増大することが株主価値を増大する事につながるという基本前提に基づいて経営が行われているのではないだろうか

The walt Disney Company's objecctive is tobe one of the word's leading producers and providers of entertainmennt anndo information, using its portfolio of brands to differerntiate its services and consumer prodcuts. The company's primary financial goals are to maxize earnings and cash flow, and to allocate capital profitability towward growth initiatives that will drive long-term sharehoder velue.

企業は社会的責任を重視した経営こそが長期的には株主価値創造につながることを証明してみようと気概をもって経営に取り組んでいる企業が米国においても長期的安定的に成長し、実際に株主価値をあげているのである。
このことは日本的経営といわれるおのにおいてもなんの変わりもない。先のトヨタ、キヤノンのようにグローバルな市場で国際競争力にもまれている企業のみならず、郵便局にまけない全国網で高品質サービスを提供しようとしているヤマト運輸や、お客様本位の理念を貫きながら高収益体質小売業の7&Iホールディングスなど、日本的経営の代表選手といっても過言ではない企業がむしろ「株主価値を創造する経営」を実践しているのではないだろうか。このことについては5章で詳しく述べる。





3-3 企業価値の創造者は誰か?
企業価値を創造するのは誰かと問われた場合、先にも述べたように日本では会社は全てのステークホルダーのもの、公的で社会的責任をもつものとして価値観が強いため、企業活動に参加する全ての人によって創造されると答えるのが日本的な模範解答であろう。企業活動にはさまざまステークホルダーの努力が必要なのは確かである。資本・資金調達では、一般に、株主や債権者(金融機関や個人株主など)と関わりをもち、資材・部品調達では取引先(サプライヤー)、製品の開発・製造・マーケティングでは労働者と従業員、販売では顧客(消費者)、立地環境では、地域社会、政治環境では地方政府や中央政府(国)と関わりを持ちながら活動する。他にもステークホルダーは存在するだろうし企業によって各ステークホルダーの重要性は異なってくるが、私たちはM&Aを行う際に株主、債権者、経営者、従業員、地域社会、政府/国があると考える。では、企業価値を生んでいない場合その責任は誰が負うべきなのだろうか。その答えは多くの人が「経営者」と考えるだろう。 どこからいくらで材料を仕入れるのかを決定し、部品の品質を厳しくチェックし、効率の良い生産ラインを設計し、新たな商品開発のための研究活動の方向性を示し、銀行や投資家から適正なコストで必要資金を調達し、どういう販売チャネルでどのような価格でどういうユーザーに自社製品の魅力を請求していくか。幾多の選択肢の中から決断するのが経営者の役割であり、その判断の妙と実行体制作りの手腕により企業価値は「創造」されたり、「毀損」されたりするのであろう。

3-4 企業価値をどのように計るのか。そして株主価値、事業価値との違い
財務的には「企業価値」、「株主価値」、「事業価値」以下のように定義されている。『「事業価値」に非事業用価資産を加えたものを「企業価値(EV:Enterprise Value)」と「企業価値(EV)」から有利子負債額(デット)を減じたものを「株主価値」』(注1)となっている。したがって企業価値評価については、まず事業価値を算定することが必要である。算定方法は1章で紹介したインカムアプローチのDCF法が使用されるケースが多い。つまり、将来、企業によって生み出される(と予測される)キャッシュフローの総計を割引現在価値に直したものが企業価値といえる。

図解

M&Aにおける実際の評価額はこの企業価値の評価をもとに売り手と買い手の交渉によって決まるもの である。 図のように現状の企業価値に買収によるシナジー効果分の企業価値増加分を付加したものが理論的には買い手側の買収価格になる。売り手はより高く売りたいと思うし、買い手はときに自信過剰に陥り、自分が経営したらもっと上手に経営できるはずだ、企業価値はもっと増えるはずだと考えて、高値で買ってしまうことも多い。さらにこのシナジー部分の評価が非常に難しく詳細なデューデリジェンスによって調査さいな分析が行われることが望まれる。




以下メモ書き          

M&Aを語る上で考察しなければならないのが、企業価値である。M&Aは企業価値向上のために行われる経営戦略の一環であると私達は考えている。企業価値さえ上昇すれば敵対的M&Aも成り立つという意見もある。経済産業省の企業価値研究会によると、企業価値は「会社の財産、収益力、安定性、効率性、成長力等株主の利益に資する会社の属性またはその程度」と定義されている。非常に捉えにくい概念である。このように企業価値の定義も捉えにくく、混乱を招く原因となる。さらに企業価値と似たような言葉に株主価値、事業価値などがある。
そもそもその企業価値とは一体何なのか。この章では企業価値、株主価値、事業価値について整理していく。

企業価値を考える上で3つの点を考察していきたい。
企業価値とは誰にとっての価値なのか?
企業価値は誰が創造するのか?
その価値はどのような尺度で評価するのか?

• 誰にとっての企業価値か?
日本の経営者が認識している企業価値⇒ステークホルダー全体。
日本の多くの会社が「株主価値」より「企業価値」という言葉を好んで用いる。その背景には会社は株主の金儲けのためだけでなく、全ての「ステークホルダー」のために存在している、さらには「公共的指名を背負っている」という価値観があることによるものと考えられる。実際に日本経済新聞社と日経リサーチが共同開発した多角的企業評価システム「PRISM(プリズム)」の2006年度ランキング上位3位の企業HPより企業価値をどのように捉えているか考察していきたい。
「企業価値の最大化のためには、単に、株価を上げ会社の時価総額を極大化することや、売上げ・利益の増大を目指すことだけでなく、様々なステークホルダー、とりわけお客様の満足度を最大限に追求することにより、企業の価値を継続的に、かつ着実に高めていく仕組みを構築することが重要である。コマツHPより引用」

「成長を続けながら、足許を固める」。これは私がトヨタの社長に就任して以来、この2年間言い続けてきた言葉です。成長への要は「技術革新」であり、今後も魅力的なクルマづくりに向けた研究開発投資を効率的な活用を図りながら投入していくつもりです。また、足許固めについては、品質・コスト競争力・人材育成の3つのテーマに着実に取り組んでまいります。

こうした当たり前のことを「愚直に、地道に、そして徹底的に」進めていくことがトヨタの伝統であり強みです。私は、これからも現状に甘えることなく時流に先んじる革新を続け、強固な経営基盤づくりに邁進することで、トヨタの企業価値を高めていく決意です。株主・投資家の皆さまには、変わらぬご支援をお願い申し上げます。(トヨタ)

• アメリカの経営者が認識している企業価値⇒株主価値
– アメリカで株主価値を向上させることがつまりは企業価値を向上させるベストな方法であると考えられている。資本主義経済において株主利益=利潤を最大化することを追求することによってはじめて、効率的な企業経営、マクロ的に見れば経営資源の最適配分が達成されるから。
反論:資本主義経済の欠点・・・マクロで見れば社会的価値は増大するが個人の価値は増大するとは限らない。そこで日本企業では途中で分配することによってモラル向上などを計っている。アメリカの資本主義がうまくいっているのはキリスト教があるから。寄付による価値分配が主流(制度的にも節税が認められている)。←あえて論文には書かずひっかけるか。
» アメリカで行われた敵対的買収の例(ディズニーVSコムキャスト)

企業価値を生み出すのは誰か?⇒経営者 さらに言えば従業員

企業価値を創造するのは誰かと問われた場合、企業活動に参加する全ての人によって創造される、答えるのが日本的な模範解答であろう。企業活動にはさまざまステークホルダーの努力が必要なのは確かである。資本・資金調達では、一般に、株主や債権者(金融機関や個人株主など)と関わりをもち、資材・部品調達では取引先(サプライヤー)、製品の開発・製造・マーケティングでは労働者と従業員、販売では顧客(消費者)、立地環境では、地域社会、政治環境では地方政府や中央政府(国)と関わりを持ちながら活動する。企業によって各ステークホルダーの重要性は異なってくるが、私たちはM&Aを行う際に株主、債権者、経営者、従業員、地域社会、政府/国があると考える。では、企業価値を生んでいない場合その責任は誰が負うべきなのだろうか。その答えは多くの人が「経営者」と考えるだろう。

• 財務的には将来キャッシュフローの割引現在価値
企業価値と株主価値、事業価値の違い
財務的には「企業価値」、「株主価値」、「事業価値」以下のように定義されている。『「事業価値」に非事業用価資産を加えたものを「企業価値(EV:Enterprise Value)」と「企業価値(EV)」から有利子負債額(デット)を減じたものを「株主価値」』(注1)となっている。したがって企業価値評価については、まず事業価値を算定することが必要である。

M&Aにおける実際の評価額はこの企業価値の評価をもとに売り手と買い手の交渉によって決まるもの である。

  • 3-1、3-3、3-4はとりあえず完成。
    チェック求む。 -- たなか (2007-10-26 00:37:35)
  • さらっと読んだけど、内容は良い!
    ただ、文章時々スペルミスが。笑。
    明日にでも直していこう↑お疲れ☆ -- よしかな (2007-10-26 01:15:38)
  • 3章は完成。
    細かいところをとか色々修正していきます。 -- たなか (2007-10-28 00:16:07)
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最終更新:2007年10月30日 12:40
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