松茸大学 文学部 民俗宗教学科

民俗宗教学科は、地域社会に残る信仰・儀礼・まじない・祈りを体系的に学ぶ学科である。
講義棟の屋上には“観測祠(かんそくし)”と呼ばれる小祠があり、学生が授業前におみくじを引く光景が日常だ。
授業は基本的にフィールドワーク中心で、帰ってこない学生もいるが、翌年の入学式にはなぜかそっくりな新入生が現れる。
教員たちはそれを“信仰の連続性”と呼んでいる。

呪術伝承コース

日本各地やアジア圏の呪術・まじないを実証的に研究するコース。
学生は地元の神社や集落で祈祷法を聞き取り、夜なべしてテープ起こしを行う。
授業中に突然ろうそくが点くことがあるが、教授は「これが実証だ」とだけ言って続行する。
フィールドノートには、なぜか学生以外の筆跡が混ざっていることが多い。

宗教メディア文化コース

現代のメディアと信仰の関係を研究するコース。
テレビ番組の奇跡体験からSNS上の占いアカウントまで、
人々が「信じたい」と思う瞬間を分析する。
卒業制作では動画作品を提出する学生が多く、
例年少なくとも一件は“撮影後に映像が更新される”現象が報告されている。
教員は「投稿後の変化も作品の一部」として単位を認定する柔軟さを持つ。

宗教心理実験コース

信仰と心理現象の関係を科学的に検証するコース。
被験者の脳波と祈りのリズムを比較する実験が行われており、
研究室の扉には「観測中、ノック厳禁」とだけ書かれた札がかかっている。
心理テストの結果はよく「解析不能」となるが、教授は「答えが来なかったこと自体が答えだ」と笑う。
実験装置のモニターには時々、誰も触っていないのに“祈り中”の表示が点く。
教授は「たぶん機械も感動してるのだろう」と言って、いつものように笑っていた。

研究トピック例

  • 地域儀礼における祈祷者のまばたき頻度の比較分析
  • オンライン宗教コミュニティにおける“バズる奇跡”の構造
  • 瞑想中に聞こえる“自分以外の呼吸音”の心理的受容実験
  • 山岳信仰フィールドワークにおける帰還報告書の字数変動
学生の間では、雨の日に講義を休むと“誰かが代わりに出席する”という噂がある。
教授陣は特に否定も肯定もしない。

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最終更新:2025年11月01日 22:52