自然構造学科


山の傾きや石の割れ目に、宇宙のリズムを見つけようとする学科。
地層を読むよりも“地層に読まれる”ことを重視する。
観測は必ず夜明け前に行われ、日の出とともに全員が無言になる。
教授は「自然の法則とは、偶然が練習を重ねた結果」と語る。

自然数理構造コース

自然界に潜む数理構造や対称性を研究するコース。
黄金比やフラクタル、素数の周期性などを通じて
「自然が自分をどのように記述しているか」を読み解こうとする。
ゼミでは森の樹形や川の蛇行を解析し、
パターンの裏にある“無意識的意図”を統計化する試みが続く。
教授曰く、「自然は計算をしているのではない、ただ思い出しているだけ」

幾何生命科学コース

形と生命現象の相互作用を研究するコース。
細胞分裂や花弁配置、風紋などに見られる幾何学的秩序を解析し、「生物は形を借りて思考する」という仮説を検証する。
実験室では粘菌や珪藻を使った“形態記憶実験”が行われ、成功例では試料が指導教員の顔に似てくると話題に。
教授陣は真顔で「それは愛ではなく収束」と説明する。

研究トピック例

  • 植物構造における自己相似性と意識形成
  • 素数分布を用いた気象パターン再構築モデル
  • 粘菌の経路最適化による人工思考体の試作
  • 黄金比出現頻度と心理安定度の相関分析

自然構造学科の講義ノートには、しばしば“誰も書いていない数式”が翌朝増えている。
学生たちはそれを「自然からの追記」と呼んで恐れない。


量子菌糸学科

量子菌糸学科は、量子力学と菌糸ネットワーク理論を融合し、「思考」「情報」「生体反応」の共鳴構造を探る研究領域である。
観測者の意識が現象に与える影響を定量化しようとする試みの中で、“観測される側が観測者を定義する”という逆転現象が報告されている。
学生の間では「実験をやる前に結果が夢に出る」ことが、ほぼ日常。

量子共鳴理論コース(Quantum Resonance Theory)

量子情報場と菌糸ネットワーク間の相互干渉を理論的に再構築し、非局所的エネルギー共鳴現象を解析するコース。
学生は観測者の意識場を“波動源”と見なし、思考パターンが物質相互作用へ与える影響を干渉縞として記録する。
研究には位相歪み干渉計(Phase Distortion Interferometer)が用いられるが、時々、装置が勝手に「おやすみなさい」と表示するため電源を抜くのが日課。
最近は、意識と物質の界面に存在する「虚位相領域」が確認され、その構造が菌糸通信網と一致すると報告された。
ただし再現実験を試みた班の半数は「菌糸から名前を呼ばれた」として自主的に休学している。
教授はそれを「成功の前兆」と語り、学生はノートに“たぶん褒められた”と記す。

情報生体理論コース(Bioinformational Logic Theory)

生体信号を量子情報モデルへ写像し、思考の統計的再帰構造を解析するコース。
神経伝達物質の分布とデジタル信号の自己相似性を比較し、「情報が自分で考える世界」を数式で描こうとしている。
実験では学生の脳波を確率振幅の干渉項として可視化するが、モニターには時折“講義中に考えていた昼食メニュー”が浮かび上がる。
教授はそれを「情報の誤嚥」と呼び、真顔で解析対象に含めている。
研究成果の一部は“夢のログ”から自動生成されるため、朝イチのミーティングでは全員が無言で夢日記を提出する。
教授は「観測は行為ではなく寝相だ」と語り、学生たちは頷きながら眠りに落ちる。

研究トピック例

  • 菌糸通信網における量子エンタングルメント的相互作用(再現率:観測者依存)
  • 脳波データを用いた思考干渉縞の可視化実験(ただし機材が眠そうな時は中止)
  • 観測者意識と物質構造の相補的崩壊現象(教授曰く「壊れてるのは構造ではなく私たち」)
  • 夢記録解析による意識統計再構成法(提出期限:起床前)

地下実験室には「観測中は喋らないでください」という貼り紙がある。
誰も喋っていないのに、たまに「了解しました」と返事が返ってくる。
誰の声かは、まだ観測されていない。

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最終更新:2025年11月02日 01:37