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極短編小説(雪緒2)

2011年11月07日(月)17時11分 - 雪緒

 





鬼の絵を好み、
人の血肉を欲して戦跡を歩いておった東国の男が、
ふと人に知れるようになり、
ちと居づらくなって都に落ち延び、
一人の巫女に懸想してしまいました。

飯も食えず、夜も眠れず。
恋しくて恋しくて、男は絵筆を取ります。
巫女のため、
高貴な血肉を欲した男は、その手で高僧壱百人殺し、
その血肉をつこうて描いても、
どうしても、鬼になってしまいます。

それがあまりにも苦しゅうて。
男は自らの腕を切り落して死にました。




その絵師は我が子を宿した女子を材に使いました。

縛り上げ、逆さにして梁からぶら下げ。
縄と縄の合間に張り出した肉塊は緩んで揺れておりました。
女子は呻き、泣き叫び。
腹を切ってもまだ我が子を守らんとしました。

絵師は、それに情交のような法悦を感じました。
寝食も忘れ、畳が血で汚れても、絵を描く絵師の顔は、

わろうておりました。

やがて女子はぐう、と呻き、白目を剥いて死にました。
その絵は今も、高い評価を得ております。




ある商家の旦那が、多くの遊女を身請けいたします。
けれど身請けした遊女は、一人も妾宅から出てきませぬ。
もう二十は身請けしたのに、小さな妾宅におさまってしまいます。

けれど誰も気にいたしませぬ。
殺されゆく女の絵が巷で高い評価を得ているとの事。
きっとそれはここだけのことではないのです。
気にしてはなりませぬ。

そう、こうした絵は。
だれもの家にこっそりとしまわれ、
時期が過ぎれば焼かれるか、捨てられるのです。



芥川の「地獄変」ネタを使った漫画を読んで思いつきました。
ほんとに突発的・・・。
怖い話よりも、残酷な話になってしまった感がある。

最終更新:2013年03月25日 15:02