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極短編小説3

2011年11月16日(水)19時52分 - すばる

とうとうここまできた

 とうとうここまできた。
ここまでに、何日かかり、どれほどの時間を費やしたことだろうか。
こんなことしてなんになるのかと、そんな疑問を抱くときもあった。
すべては無駄、何の意味もないことだと、心のどこかで思っていた。
だけどそのたびに言い聞かせた。人生なんて、所詮はすべて無駄なもの、死んでしまえばすべてなくなってしまうのだと。
そうやって、苦心に苦心を重ね、そしていよいよ、運命の瞬間。
あっ、ピース足りない……


 恐怖写真

 そこには、ありえない映像が写されていた。彼のすぐ脇に写っているのは、髪の長い女。
その長い髪に隠れて顔はよく見えないが、病的なほど白く、透けるような肌を白装束で包んでいる。
袖から覗くのは、細く、長い指。
その弱々しげな風体とは打って変わり、その目だけは異様なほど強く輝き、まるで写真を通して睨みつけているよう。
「卓也、この女誰よ。」
 里恵はそう詰め寄った。


 人質事件

 事件が起きたのは、一月一日のこと。
正月を一人で過ごさねばならない悲しきバツイチ男が、なにを思ったのか突然通行人にナイフを突きつけ人質にしたのだ。
男は別れた妻と子供を呼べと要求した。
しかし母子は海外旅行に行っており、どうあってもそんなことはできなかった。
警察は何とか男の気を落ち着かせようと説得を続けたが、男はますます気を荒げ、とうとう人質を殺そうとした。
だが手がかじかんでナイフをうまく扱えなかった。


 クレーマー

「どうなっているんだ、この店は。あんなまがい物売りやがって。」
「お客様、いったいどうされたのですか?」
「この前買った時計が、もう壊れやがった。ひと月もたってないのにだぞ。」
「お客様、申し訳ございませんが、ぶつけたとか、水に落とした、といったことはなさっておられませんか。」
「そりゃあ、水には入れたが、だからなんだというんだ。そんなことで壊れるというのか。カイチュウドケイだって言っていたじゃないか。」

最終更新:2013年04月07日 16:50