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天翔けるニジ方程式

2005年01月27日(木) 18時10分-水組

  水組リレー小説:3時間分。誤字脱字以外の表記は原文のままです。

・世界
 現代世界。宇宙人に占領されている。場所は日本。

・人物
 中島太一 ( 18) 男。 中肉中背。人間。
 中島パピ (192) 女? 小柄。宇宙人
 中島α‐1(  1) ―  中肉中背。メカ。
 柴田一臣 ( 18) 男。 中肉中背。人間。

<第一話:木塚百川>--------------------------------------------------------------------------

 子供の便器みたいな乗り物が大挙しておしよせてきたと思ったら、地球は征服されていたのだった。「なかなか手ぎわがいい。まあ僕には及ばないが」とは我が友人柴田の談で、「この程度じゃ休校にはならないんだな」とは俺の慨嘆だ。そしてその日から、我が家には宇宙人の監査役であるパピ(俺が命名。本名は謎)と、彼女(?)のおもちゃである(らしい)人型有機メカのα‐1(これも俺が命名)が、居候することになったのだ。
 六畳一間だが。我が家は。

<第二話:伊吹はるな>--------------------------------------------------------------------------

「メシ、くれ」
 今日も今日とて、パピは覚えたての日本語を使って俺に話しかけてくる。当初宇宙語しか話せなかった彼女は、日々新たな語いを獲得しつつあった。覚える語がなんだか妙なのはともかく、その言語能力はたいしたものだと思わないでもない。
 ただし――
「メシ、くれ」
 と言いながら俺に嫌いなニンジンをおしつけてくるパピは、明らかに、絶対に、使っている言葉の意味を理解していないのだが。

<第三話:バーネット>--------------------------------------------------------------------------

 とりあえずニンジンを受け取る。
 最初のころはつっぱねていたのだが、そのたびに
「メシ、くれ」
 と言いながら寒感が走るような異様なプレッシャーで迫ってきて最後はそれに押し切られてしまうのだ。最近はもう諦めて抵抗するのもやめた。

<第四話:不破頼堂>--------------------------------------------------------------------------

 馬ならぬ身にとっては、ニンジンは苦くて臭いだけだ。
 ――言葉よりも先に料理を教えないと。
 僕の隣りでパピは、底の知れない笑みを浮かべている。

<第五話:木塚百川>--------------------------------------------------------------------------

『くれ、の用法が不正ですよ、D.D.25回【ガッ】er_bisll_ハンキ?サユ、?、マ、ク、盂ノヘワサホ。er_bisll』
 指摘の途中で蹴飛ばされたα‐1が、ちゃぶ台を引っくり返して転がっていき、訳の分からないセリフを流しはじめる。父が新聞を閉じ、鋭い眼光でパピをにらんだ。パピの方はつぶら(なように見えるだけだ、実際)な瞳でそれを見返す。
 おお、やるのか親父。今までの無言は雌伏だったんだな?
「父のアジ開きをやろう、パピたん」
 ……奴は保身に徹するらしい。ニンジンを俺に押し付けておいて、パピは大喜びである。いつあいつの好物をリサーチしたのやら。 
 と、チャイムが鳴った。

<第六話:伊吹はるな>--------------------------------------------------------------------------

 来客らしい。俺は立ち上がった――この先に起こることを、薄々予想しないではなかったのだが。
 立ち上がった俺が、一歩を踏み出す。そのわずかな時のうちに、俺の横を高速で何かがすっ飛んでいった。
 何か……ああ、確認したくもないが。俺はしぶしぶ、それを追って玄関に出る。
「首都いてん。八方美人」
 相変わらず変な言葉を口にしながら、来客である俺の友人・柴田にじゃれつくパピの姿が、そこにあった。

<第七話:バーネット>--------------------------------------------------------------------------

 ……要するにだ。世界はわりと平和だってことなのだ。変なのが1匹+α増えたりしたけど、たいした変化もな――訂正。大いに変化したけど、まあそれだけだ。ただそれだけなのだ。
 パピはあいかわらず柴田にじゃれついている。やっぱり世界は平和なのだ。

 「完」


 水組のリレー小説五編のうちの一編です。時間は三時間ほどあったのですが、設定づくりなどで時間がかかってしまい、話自体は短いものに。
 手で書くのも新鮮です。

最終更新:2014年02月16日 22:12