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逆光の紫色

2005年02月13日(日) 22時44分-水組

 ●人物
・澄香……22歳。大学を出たばかり。英語の教師を目指している。元気者。
・美香……10歳。澄香の妹。しっかりものであり、ドジばかりの姉にあきれることが多い。
・洸汰……9歳。紫世田学園に通う生徒。周りとはあまりかかわらない。澄香に絡む生意気な生徒

●世界観
・紫世田学園……一貫教育を行う学園で有名。学校では、少年ばかりが集められ、徹底的な紳士教育が施される。教師には男が多く、麗しい少年を教育できる数少ないポストは、女性教師の憧れの的である。

●大まかな流れ
 この物語は、教師志望の澄香が何故か有名な小学校からの採用通知を受け取るところから始まる。新米教師が繰り広げるドタバタ学園ラヴコメである。

(不破)
「あああああー」
 けたたましい叫び声がリビングに響く。テレビではお昼のワイドショーが流れている。ゆったりとしたパジャマを着た女性が、冷蔵庫をのぞき込んでいる。
「私のプリンがない。美香! あんたでしょ!」
「だってお母さんが買ってきたんだもん。稼ぎのない姉ちゃんに文句言う筋合ないの」

(百川)
「ふふふーん。文法まちがってるわよ。正しくわね、“お姉ちゃんに”じゃなくて“お姉ちゃんが”なのよ。それが“筋合”のところを――」
「冷ゾーコ開けっぱなしにしてんじゃねーよ。バカ姉」
 姉の横から足を伸ばして、洸汰が舌をつき出した。蹴られた冷蔵庫がパタンと閉まる。
「コラ洸汰! 足で扉閉めちゃダメだって言ったじゃない!」

(伊吹)
「こら澄香! 冷蔵庫あけっぱなしにしちゃダメだって言ってるでしょ!?」
 いつもの母の文句で切り返し、洸汰は笑い声をあげて駆け去っていく。女性――澄香は、その姿を憤然と、やがて呆れたようなため息をついて、見送った。
「まあ……元気になったものよね。あの子も」

(バーネット)
「何つっ立ってんの、バカ姉」
 美香の一声が澄香の感傷をぶち壊す。
「御飯なら昨日の残りだよ。温めてさっさと食べちゃえば」
 ――元気になったのはいいことだ。間違いなくいいことなのだが……

(不破)
 電子レンジで夕飯の残りを温めている間に、澄香は洗面所に向かう。冷んやりとした廊下は素足に心地よかった。
 鏡に向かった澄香は、顔をしかめた。肩に届きそうな髪は、外側に跳ねている。化粧の落ちた顔は張りがなく、澄香を疲れてみせていた。
 ――もう小母さんだな。澄香は洸汰の反応を想像してみた。
「あの野郎」
 握りしめたチューブから、歯磨き粉が飛び出した。

(百川)
 ……チューブは廃棄処分にして洗顔をすませると、澄香はやや急ぎ足で玄関へ向かった。ちょっと遅れたけど、もう小学生の下校タイムなのだ。半袖短パンを拝むチャンスなのである。意気込んで双眼鏡、デジカメ、マスクにキャンディetcを用意して出撃した澄香は、十分後通報されて警察に身柄を確保された。13時25分。紫色の光が射していた。


 水組の週会でやったリレーをあげてみました。長編を目指したのに、予想外の結末に。タイトルとか、若干改訂しました。
最終更新:2014年02月16日 22:19