2006年12月26日(火) 01時24分-川口翔輔
僕はプールで泳いでいた。息が苦しいのは、いつも最初だけだ。ある矩を越えてしまうと、水の冷たさもわからない。ゴーグルだって曇って見えない。音も、あってないようなものだ。
心は空を飛んでいた。泳いでいる時は、何もすることがなくて退屈なのだ。空を飛ぶのは、いつもお決まりの暇つぶしである。
やがて、尿意を催したので僕は、水から陸に上がった。心は空から陸に降りてきた。ひとつになる。その陸上で、確かに感じられる重力が、二本の脚が自分を支え床を捉える感覚が、なんとも言えず心地よい。この場所で、がっしりと自分というものが凝結したような気分だ。
着替えを済ませて更衣室を出るとき、僕は心の声を聴く。
「アイス食べたい」
よし。コンビニ行こうぜ。今日はチョコモナカジャンボだ。
これが凝結した自分の正体だった。