2006年12月31日(日) 19時51分-Κ
むかしむかし、恐竜は便秘で滅びたという説があったが、川瀬は便秘で滅びた。
川瀬の葬式でおれたちはおいおい泣いた。便秘なら便秘といってくれたらよかったのに。日々、巨大化していく川瀬を見て、どうしておれたちは何も気づいてやれなかったのか。
その二年後、町を歩いてる川瀬を見かけた。「オイ、川瀬じゃないか」おれは後ろから声をかけた。しかしやつは振り返らない。記憶喪失か?友達としては放っておけない。おれは懐から鉄パイプを取り出し、あいつの頭をぶん殴った。もう一度。川瀬は抵抗した。なかなかおれのことを思い出さない。もし最後までおれのことを思い出さなかったら、こいつは川瀬じゃないのかも知れないが、もし川瀬じゃなくても、殴ってればそのうちおれのことを思い出すかもしれない。
気が付くと、パトカーがおれたちを囲んでいた。ちっ、ポリ公め、国家の犬が。おれは走り出した、明日に向かって。乱舞するサーチライト、たけり狂うサイレン、飛び交う鉛の銃弾。だがおれの疾走は速く、おれの跳躍は高い。おれはノマド(遊牧民)、生まれながらの越境者だ、だれにも捕まえられはしない。