2007年05月21日(月) 01時31分-穂永秋琴
古典は退屈であり、現代文学はくだらない。本の山とはすなわちゴミの山である。
まぎれもない真実だと思う。全体における割合からいけば、古典は退屈なもののほうが多いし、現代文学はくだらない作品のほうが多いのだから。読書なんかするな、と、ある種の人たちは言う。然り、退屈な古典や、くだらない現代文学に費やしてもいいほど、君たちの青春時代は価値の軽いものではない。
だがそのゴミの山の中に、きらりと光る宝が埋もれているのも、また確かなのだ。
我々は四年間、ゴミの山に上り続け、ゴミの山を掘り起こし続けた。そして、いくらかの宝を――極めて優れた書物を見つけた。ここに掲げたのは、その成果の、もっとも高質な一部分である。
願わくは、我々の見出した宝が、君たちにとっても価値あるものとならんことを。
名古屋大学文芸サークル第三代代表・穂永秋琴
穂永の基本方針。
・一作家につき一作品とする。
・私自身の趣味に忠実に、文学史に遠慮しないで選ぶことを心がける。
・冒険的なリストを作るため、有名な作品はあえて外す。ただし、ドストエフスキーだけは例外とする。
・お勧めの作品には(!)を、特にお勧めの作品には(☆)をつける。
・コメントはいい加減。
とりあえず何か面白いものを読みたいひとのために
アリオスト『狂えるオルランド』(名古屋大学出版会)(!)
イタリア・ルネサンスの掉尾を飾り、『ドン・キホーテ』にも影響を与えた名作……とか、こういう堅苦しい説明はいらない。お間抜けな騎士・女騎士たちの活躍を存分に楽しむがよいのだ。
セルバンテス『ペルシーレスとシヒスムンダの苦難』(国書刊行会)
巨匠の絶筆でござい。枠物語の形式を借りた冒険小説。つまり、『エチオピア物語』の子孫にして『ハイペリオン』の先祖ってとこかな。『ドン・キホーテ』を読む前にアリオストとこれを読んでおくとよかろうよ。
『デデ・コルクトの書』(平凡社東洋文庫)
アナトリアのトルコ系民族に伝わる物語文学だ。草原民族の雰囲気を楽しめ。
滝沢馬琴『椿説弓張月』(岩波文庫)
流刑先の八丈島を逃れた源為朝が、琉球のプリンセスを助けて活躍する。江戸最大の作家馬琴+江戸最大の絵師北斎という、最強タッグによる極上のエンターテイメント。
アイヒェンドルフ『愉しき放浪児』(岩波文庫)
「もっともロマン派らしい作家」アイヒェンドルフのお気楽な小説。
AKトルストイ『白銀公爵』(岩波文庫)
イヴァン雷帝の時代を舞台にした歴史小説。『三銃士』好きならぜひ。プーシキン『大尉の娘』もいいよ。
金庸『笑傲江湖』(徳間文庫)(!)
通俗小説の値打ちが、読者の手に汗をかかせ、本を最後まで閉じさせないことだとすれば、たぶん、今のところこれが世界一の通俗小説だ。
カルヴィーノ『不在の騎士』(河出文庫)
中身からっぽの鎧が繰り広げる珍冒険。『狂えるオルランド』とセットでどうぞ。
ペレーヴィン『虫の生活』(群像社)
登場人物たちは変身を繰り返しつつ軽やかに飛び回る。軽いのはヤダ、という向きは、アナトーリイ・キム『リス』を。
さくっと戯曲でも
シェイクスピア『から騒ぎ』(白水uブックスなど)
ロペ・デ・ベーガ『農場の番犬』とならぶ、ツンデレ・ラブコメの二大聖典だ。ツンデレカップルに存分に萌えるがよい。
コルネイユ『シンナ』(白水社『コルネイユ名作集』に収録)
恋人の仇は自分の恩人。さてどうしよう。ヒロイズムあふれる名作。モリエールやラシーヌよりコルネイユのほうが断然新鮮に読めると思うよ。
孔尚任『桃花扇』(平凡社中国古典文学大系『戯曲集 下』に収録)
中国戯曲なんか読んだことないだろ。これ、読みやすくて面白いし、歴史ものなので『三国志』『水滸伝』のファンなら必読だ。
萌えなくして何が文学か
ゴーチエ『モーパン嬢』(岩波文庫)
理想の女を求める男と、男とはいかなる者か知りたい女、さて、その結末は。男装少女から百合にいたるまで妖しげな雰囲気はたっぷり。
エーヴェルス『アルラウネ』(国書刊行会)
人造人間ネタ。<宿命の女(ファム・ファタル)>を扱ったものとして、フケー『ウンディーネ』と比べてみるのもおもしろい。
エリアーデ『令嬢クリスティナ』(作品社)
吸血鬼よりその姪の幼女シミナが怖い怖い。
ガルシア・マルケス『愛その他の悪霊について』(新潮社)
ラテアメ文学入門にどぞ。
どっちかというと癒し系
アナトール・フランス『シルヴェストル・ボナールの罪』(岩波文庫)(☆)
本を巡る冒険はいつ読んでもわくわくさせてくれるもので。あとシルヴェストル爺さんかっこよすぎ。
ドゥンバゼ『僕とおばあさんとイリコとイラリオン』(未知谷)
グルジア語から直接訳されたのはこの小説が始めてだそうですよ奥さん。つまり日本翻訳文学史にその名を刻む作品と申せましょう。内容としては、ノスタルジーとユーモアにあふれた佳作。「初恋」の章ではもだえ転がること必至。
タブッキ『レクイエム』(白水uブックス)
イタリアの現代作家で、誰にでもお薦めできるのはこの人。ストーリー性の強いものがお好みなら、『供述によるとペレイラは』をどうぞ。
異形の都市にて
コードウェイナー・スミス『ノーストリリア』(ハヤカワ文庫SF)
コードウェイナーの名は知らずとも「人類補完機構」は聞いたことがあるはず。え、ない? 独特の味のある文章を書く人です。
カリンティ『エペペ』(恒文社)
ヘルシンキへ向かったはずが、意味のとれぬ言語を話す人々の都市に到着してしまった言語学者――カフカ系不条理小説。
カダレ『夢宮殿』(東京創元社)
アルバニア文学はちょっとほかのヨーロッパ文学とは雰囲気が違うね。白水社から出た『誰がドルンチナを連れ戻したか』『砕かれた四月』もいいよ~。
古橋秀之『ブライトライツ・ホーリーランド』(電撃文庫)(!)
電撃文庫で度肝を抜かれるとは予期してなかった。ビルシャナ仏が百腕巨人にドロップキックをかますプロローグだけでご飯三杯はいけるね。
青春小説嫌いが勧める青春小説
ネルヴァル『火の娘たち』(ちくま文庫)
中篇「シルヴィ」がお勧め。このほろ苦さこそ青春の味だと思うのだけれどどうでしょう。
ゴンチャロフ『オブローモフ』(岩波文庫)(!)
なんとびっくり、19世紀ひきこもり小説だ。現代人が読むべき青春小説はヘッセでもサリンジャーでもなくこれだろうさ。働いたら負けかなと思っている人は読むべき。
本格小説でどっぷりと
ディケンズ『デイヴィッド・コパフィールド』(岩波文庫など)(!)
ゆるい語りが魅力。素敵な挿絵でも眺めつつ、ゆったりまったり楽しみましょう。
バルザック『ゴリオ爺さん』(岩波文庫など)(☆)
描写が長すぎてかったるいが、キャラは強烈。初めの70ページを耐え切ればあとはジェットコースターだ。健闘を祈る。
ユゴー『九十三年』(潮出版社など)(☆)
『レ・ミゼラブル』は長すぎるので、ユゴー初読者にはこっちを。フランス革命を扱った歴史小説。ラントナックが熱い。
ゾラ『ジェルミナール』(中公文庫など)(☆)
労働小説なんざ読んでられるか、とは言わずに……。社会小説系でこれ以上の小説はない。
李文烈『皇帝のために』(講談社)(!)
予言書の読みすぎで自分は皇帝になる運命だと勘違いした男が、太平洋戦争前の朝鮮半島と満州を舞台に大暴れ。ドンキホーテと三国演義と朝鮮近代史を足して割らない。
莫言『白檀の刑』(中央公論社)(☆)
作品全部をメタフィクション化する最後の一言が熱い。泥臭くて洒脱さがないのがいい感じです。
奇想系。
董若雨『西遊補』(平凡社東洋文庫)
邦題『鏡の国の孫悟空』。なんと孫悟空が多重次元世界で始皇帝を探して冒険する話なのだ。
ホフマン『黄金の壺』(岩波文庫など)(☆)
蛇娘ゼルペンティーナに恋した貧乏学生の運命は――。『悪魔の霊酒』『ちびのツァッヒェス』『ブランビラ王女』……ホフマンの小説はどれもすごいよ。俺の中ではベストオブドイツ。
シュルツ『肉桂色の店』(平凡社ライブラリー『シュルツ全小説』に収録)
変身を繰り返すお父さんが素敵。ノスタルジックでグロテスクな良作短篇集。
ブルガーコフ『巨匠とマルガリータ』(群像社など)(☆)
はちゃめちゃ。一応ソ連社会の風刺がメインのはずだけど、そんなことは全然気にせずに楽しめる。空飛ぶメイドさんとか出てくるあたりがもう。
チュツオーラ『やし酒のみ』(晶文社)
アフリカ人の想像力を堪能せよ!
レム『ソラリス』(国書刊行会など)(!)
SF史に残るマスターピースだ。うん。
マコーマック『隠し部屋を査察して』(創元推理文庫)
ブラックジョーク系。エログロ注意。
アレナス『めくるめく世界』(国書刊行会)(!)
大マジメなファルスというか、ファルスなのに大マジメというか。暗い話のはずなのに読んでるこっちは大爆笑。
小説世界をどう描くか
ウルフ『灯台へ』(岩波文庫など) 時間の扱い方とかが秀逸。
パヴィチ『ハザール事典』(東京創元社)(!)
両表の本『風の裏側』とか、クロスワードパズルを小説に組み込んだ『紅茶で描かれた風景』とか、変な本を作る人です。でも物語としてしっかり面白い本でもある。
キシュ『砂時計』(松籟社)(!)
笑いに満ちた珍問答で恐怖と狂気の世界を織り上げる。今年刊行された翻訳小説では今のところベストではないかと思われ。でも売れてないっぽいので、買ってあげてくださいね。
やたらスケールの大きな話
ドフォントネー『カシオペアのΨ』(国書刊行会)
ある惑星の全史を様々な文体で作り上げる。フランスロマン派が生んだ奇作。
エリクソン『黒い時計の旅』(白水uブックス)(☆)
歴史改変系。一ポルノ作家の愛がナチスドイツに勝利をもたらす。濃密な幻想描写が売り。
イーガン『ディアスポラ』(ハヤカワ文庫SF)
作品内で流れた時間、キャラが移動した距離は、世界文学全部の中で最大ではないかしらん。コテコテのハードSFだけど、小粋なセリフがちらっと挟まれたりするところがなんだか良いね。
破滅系:奈落に向かってまっしぐら
『ニーベルンゲンの歌』(岩波文庫)(!)
二部仕立ての叙事詩。勇士ハゲネのキャラが鮮烈。
ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』(岩波文庫など)(☆)
カラマーゾフシチナ(闇のちから)が満ち満ちてます。
チャペック『山椒魚戦争』(ハヤカワ文庫SFなど)
ユーモラスな語りながら、物語が破局へ近づいていくのが読者の心に迫る。風刺SFの古典。
グラック『シルトの岸辺』(ちくま文庫)(☆)
破滅というか、破滅の予感までだけど。ブッツァーティ『タタール人の砂漠』、クッツェー『夷狄を待ちながら』とセットでお読みください。
分類不能
ラファティ『悪魔は死んだ』(サンリオSF文庫)(!)
悪魔は死んだ。あんたが殺した。――ジョイス『フィネガンズ・ウェイク』の二次創作、と言っただけで、これがたいへんな奇書であることがお分かりいただけるはず。
<闖入者(藤枝)が現れた!>
RPG系:ゲーム原作だからと侮るなかれ
久美沙織『ドラゴンクエストIV』(!)
ゲームのシナリオが好きな人は、逆に読むべきではなかろうなのだ。
Book○ffで探せばエニックス文庫ぐらい安く売ってるはず。図書館を探しても見つからないと思われ。
本当は『天地創造』(上に同じくゲームの小説化)を推したいが、手に入らないので断念。(私はラッキーなことにたった4年で中古書店で格安で見つけることが出来た!自慢自慢!)
「こんにちは、Kです。本の紹介をさせていただきます。本当はゴリゴリに凝ったものを紹介しようかと思っていたんですが、忙しいのでオーソドックスにいきます。
スターン『トリストラム・シャンディ』(☆)
面白い脱線は、小説のアクセサリみたいなものだけど、この小説は最初から最後まで脱線しかしない。脱線でない部分は皆無といっていい。主人公が受精するところから話が始まるんだけど、そこから産婆さんの話、産婆さんのご亭主の牧師の話、教会の話、説教の話、父親の妙な思い込みの話、戦争マニアの叔父の話、どうしてこの小説はくだらないことばかり書いてあるかについての話、これからはできる限り脱線しないようにしようという話、話が脱線に告ぐ脱線で主人公はいつまでたっても生まれない。あと、小説の真ん中くらいのところに前書きがあったり(作者に暇ができたからだそうだ)、献辞(だれだれに捧ぐとか言うあれね)の宛名がなくて、この小説を捧げてほしい人は、出版社までご一報を、とか書いてあったり、真っ白なページ、真っ黒なページ、極彩色のまだら模様のページとか、悪ふざけの限りを尽くした、永遠の奇書。岩波文庫で読めるよ。
ラブレー『ガリガンチュアとパンタグリュエル物語』
うんことかしっことかちんぽとかから、当時の最先端の哲学まで、何でも入っている本。嵐で恐怖のあまりうんこまみれになる男が、別の場面では、ラテン語からギリシャ語、イタリヤ語、バスク語、さらには存在しない架空言語を操り、わけのわからん屁理屈をこねたりするし、修道士が巨大な十字架を振り回して、相手の頭蓋骨を砕いたりするし、もうはちゃめちゃ。驚くべきはその言葉の洪水。数字はみんな、32万5千3人とか大きい割りに妙に細かかったりするし、パリの図書館の本が十数ページに渡って羅列されてりするし(全部でたらめな名前ばかりで、難しそうな言葉で馬鹿なことが書いてある『入門簡易尻拭法』とかそんな感じ)、三十文字以上の長い単語とかを勝手に作ったりとか、もうむちゃくちゃ。
だけど、この学問的な高尚な言葉と、卑俗な民衆の言葉を混ぜて使う試みが、日常的な言葉を表現できない高級語と、豊かな表現力を持たないし、文字にされることもほとんどなかった低級後を無理やり結合させ、今のフランス語の原型を作ったともいえるのだ。実際たとえば「パニック」という言葉はラブレーがこの作品で作った造語だし(ローマ神話のパンからきている)、「カタストロフィ」や「カニバリズム」という言葉を、フランス語に輸入したのもラブレーが最初といわれている。
この作品の常軌を逸した馬鹿騒ぎは、まさに言語が生まれる原初の叫びなのだ。岩波文庫で出てたけど、今でも読めるかは知らん。筑摩文庫から新約が出ているけど、まだ途中まで。図書館ででも借りてよ。
(つづく)
◇召喚されたので、、時間外労働に来ました。(鴉羽黒)
◆西澤保彦『彼女が死んだ夜』、『麦酒の家の冒険』、『仔羊たちのイヴ』、『スコッチ・ゲーム』、『依存』、『解体諸因』、『謎亭論処』、『黒の貴婦人』、『七回死んだ男』、『方舟は冬の国へ』、『腕貫探偵』
・南部書籍の声カードに「西澤保彦をもっと増やしてください」と半ば冗談で書いたらホントに増えてインデックスまで出来てしまい、でもたぶんほとんど僕しか買ってないので誰か買ってやってくださいという意味を込めて紹介。ちなみにミステリ。
『彼女が~』から『黒の貴婦人』までは通称匠千秋シリーズ、でも一つだけ読んでもそう問題はないと思う。なお、後ろ三つは短編集なので時系列がばらばら。そんな長いシリーズなんか読んでられないという場合は、とりあえず『麦酒の家の冒険』をオススメ。
他に上げた単発もののうち、『腕貫探偵』はハードカバーだけど短編集で軽い話が多くて読みやすい。『七回』はタイムループもの、『方舟』は擬似家族サスペンス。たぶん。
番外編としては、実在する作家を勝手に(?)主人公に仕立て上げた森奈津子シリーズがある意味すごい。両性具有迷宮がそれに当たるが、相当エロくてそこそこグロいので注意。完全にコメディではあるんだけれど。
◆伊坂幸太郎 『ラッシュライフ』、『陽気なギャングが地球を回す』 『砂漠』
西澤保彦と違って一般的に有名で売れてるようなのなのであんまりここであげるほどでもないと思うのだけど、まあ一応。砂漠は大学時代に読むのがたぶん、一番正しい。あとで読むと後悔する、学生生活を(僕はした)。
◆光原百合 『最後の願い』
『時計を忘れて森へ行こう』以来目立って出版がなかった光原百合久しぶりの新刊(もう結構前だが)。劇団仲間集め連作短編。キャラクターの魅力が光る。
◆樋口有介 『彼女はたぶん魔法を使う』
旧世紀に発行された作品の復刊文庫なので、読んでいると微妙に違和感があることも。古きよき(?)足で事件を解決する元刑事の話。とりあえず主人公は顔を合わせた女性に歯の浮くような台詞を言いまくるので、ひょっとしたら何かの参考になるとかならないとか。
♯あまり進めるようなものでもないもの。
◆秋田禎信 『閉鎖のシステム』
富士見ミステリ。作家はオーフェンのひとだが、まあなんというか、色々とよくわからない作品。僕は好き。でもこれ今売ってるんだろうか。
◆新井輝 『ROOM№1301」
富士見ミステリ。後輩に勧めるという趣旨から外れている気がする。最近のライトノベルエロ化傾向の(偏見)、たぶんさきがけ。でも巻数が進むとそうでもなくなってきて、恋愛小説として、というよりは群像劇として十分面白いと思う。ほとんど台詞で進んでいるような気はするが。
♯番外
◆永田泰大 『魂の叫び』
ていうか小説じゃない。知る人ぞ知るファミ通連載の小コラムで、まあ、魂の叫びが綴られている。ゲーマーはぜひ。まだ連載しているので、ファミ通を探して立ち読みしてみるだけでも可。コンビニで吹き出しても保障はしませんが。
とりあえず以上。
◇遅れてきた皆既日食
『ばいばい、アース』冲方丁
異世界で女の子がでっかい剣を振り回す。というのがあらすじ(待て)
主人公以外が獣人だったり人魚だったり足長族だったり半人半馬だったりする世界で、自分は何者なのさ?という答えを探しに旅に出ようとするお話。
旅に出るための試練で物語は終わります。・・・第二部、書きたかったんだろうなあ・・・
幻想的な世界観と舞踏のような戦闘シーン、祝福と呪いに悩み苦しむ登場人物が素敵。
『カレワラ』
フィンランドの伝説をまとめたやつ。エッダとかサガみたいなもんだと思ってくれい。
英雄譚の主人公といえば勇ましい戦士だが、このカレワラの主人公たちは魔法使い。かわいい嫁さんを娶るために魔の歌を吟じて数多の奇跡を巻き起こすのだ!
自分の欲望のために魔法を使う魔術師は普通悪役で終わるが、この物語では主人公。彼らのはっちゃけた姿を一度見てほしい。
『多情剣客無情剣』古龍
中国の武侠モノでは一番かっこいいと思ってやまない名作。一瞬の刃の煌きのように、余分なものをそぎ落とした緊張感のある戦いは必見。そして主人公がやたらと渋い。だがストーリーも余分なものをそぎ落としすぎだ・・・でも面白いから許す。戦いとキャラで楽しめる人は、ぜひ。
『豊乳肥臀』莫言
しまった莫言は書生さんもあげていたか・・・まいっか(確信犯)
中国では、公式には禁書とされている本です。普通に本屋で買えるらしいが。
主人公・上官金童はお母さんと8人の姉と一緒に暮らす少年。男の子は主人公一人なので甘やかされてます。これだけ聞くと某氏が12人の妹がどーとか騒ぎそうだが、すまんそういう要素はゼロだ。
第二次大戦が終わったばかりの混乱期の中国で、一家の大黒柱である父を失った上官家が力強くというよりしたたかに生きていく様を描いた作品。ただし涙を誘うような描写はない。一家みんなで力をあわせようという話でもない。どんなつらいことがあっても、生きるためにあがき続けるしかないというある意味すさまじい物語。
あまりの貧しさに娘の一人を売ることになった母が主人公に言った「上官家の未来は、おまえの肩にかかってるんだよ!」という一言が心に残っている。