2007年06月25日(月) 18時47分-渋沢庚
幾筋もの長い髪を
たばねて雨が滴った
はじける丸い嘲笑と
外でおどる銀糸の喜劇
僕はパタンとドアを閉め
つまらぬ芝居に幕を下ろす
玄関の内いっぱいに
たまった水たまりの鏡
遠ざかりゆく拍手と共に
衣装を剥ぎ取りシャワーを浴びる
無数の糸につながれて
僕は静かにたたずんだ
暖かい糸 白いヴェール
僕は静かにたたずんだ
自滅のロンド 軽妙のタイル
僕は静かにたたずんだ
織られたきらめき 行きつく暗黒
だけど僕は何をした?
僕は道化 何の役にも立たない
だって僕はただの操り人形
不意に糸を引きむしり
白いヴェールを切り裂いて
叫び声をきしませた
乱れる髪に うつろな手足
目だけがギョロギョロまわってた
だけど結局 部屋の隅
足をすべらせ転げ落ち
そこはゴミ溜め おもちゃ箱
体を「く」の字に折り曲げて
もうピクリともしなかった
それでも糸はおどってる
わずかに開いた目の中で
細い光をからめながら
次第にそれは激しくなって
ポロリと一筋落っこちた
それは孤独―――
断ち切られた激情の最後の喘ぎ