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訳詩 王維『老将行』

2008年08月03日(日) 18時02分-穂永秋琴

 老将行
十五か二十の若きころ
徒歩でえびすの騎馬を奪い取った
山中で白額の虎を射殺して
都の若獅子のひとりに数えられた
身ひとつで三千里を転戦し
剣ひとふりは百万の軍にも匹敵する
漢兵は霹靂のように奮い立ち
えびすの騎兵の突撃を鉄菱で防ぎとめた
衛青の無敗は天運によるだけ
李広が功績を上げられなかったのも数奇なさだめゆえ

この身は老い朽ちるままに捨て置かれ
世事の移り変わりのうちに白髪となった
かつて矢を放てば鳥の目を射抜いたが
いまでは肘に柳のようなこぶができた
ときには路傍で瓜をあきない
門前に柳を植えることを学んだ
蒼茫たる古木はせまい街角に連なり
寥然たる冬山が窓の向かいに見える
水を断たれた窮城に泉が噴き出すような奇跡を思う
酒席でむなしく気を散らすのはよしにしたい

賀蘭山のふもとに戦陣は雲のよう
軍師が行き交い朝に夕に報せをもたらす
命令を出して河べりの若者を募り
詔書によって五つの道から将軍を出撃させる
甲冑は磨けば雪のように白く、
宝剣を持てば星のように輝く
願わくは強弓を得て敵の大将を射止めたい
敵の鎧がわが君をおびやかすのを許すつもりはない
かつての不遇をうらむことはしない
まだ戦いにのぞんで功勲をあげることはできよう


少年十五二十時,
歩行奪得胡馬騎。
射殺中山白額虎,
肯數?下黄鬚兒。
一身轉戰三千里,
一劍曾當百萬師。
漢兵奮迅如霹靂,
虜騎崩騰畏?藜。
衛青不敗由天幸,
李廣無功縁數奇。

自從棄置變衰朽,
世事蹉?成白首。
昔時飛箭無全目,
今日垂楊生左肘。
路傍時賣故侯瓜,
門前學種先生柳。
蒼茫古木連窮巷,
寥落寒山對虚?。
誓令疏勒出飛泉,
不似穎川空使酒。

賀蘭山下陣如雲,
羽檄交馳日夕聞。
節使三河募年少,
詔書五道出將軍。
試拂鐵衣如雪色,
聊持寶劍動星文。
願得燕弓射天將,
恥令越甲鳴吾軍。
莫嫌舊日雲中守,
猶堪一戰取功勳。
じじい万歳。

王維は説明いらないよね。詩の中には故事をふまえた記述がたくさん出てくるんで、本来なら注釈が必要不可欠なんだが、めんどくさいからつけなくてもわかるように努力してみた――がうまくいってない。うまくいってないが、せっかく訳したのでのせておく。原文で「?」になっているところは表示できない文字。
最終更新:2014年02月17日 13:01