2012年03月10日 (土) 11時35分-水無原
陽射しとは、太陽のものとは限らないらしい。
「はーい、それじゃちょっと陽射し造るから。こっち向いてー」
照明さんとカメラさんに笑顔で応える。カメラのシャッター音に、私は快感を得る。今は冬だが、来ている服は夏物だ。鳥肌が立ちそうになるのを堪える。見渡す限りの海、のパノラマ写真。オレンジのスカートにカンカン帽を被り、健康的、と評される笑顔を浮かべる。
『そんな、実際とは乖離した自分を知ってもらって何になるの』
私がモデルに専念すると決めた時、当時の彼氏が言った。その言葉を発した時点で、彼が望む『私』と実際の私とが乖離している。学歴とプライドがある彼は、スカウトされるくらい美しい彼女は自慢だったけど、不安定な職を選ぶ私は要らないみたいだった。
『実際の私なんて、私も知らないから大丈夫』
この間デビューシングルを出した歌手、ララ。彼女は芸能界で今、羽ばたこうとしている。高校時代のクラスメイトだった私を覚えていないだろう。彼女は当時からアイドル養成所に所属していたから。彼女は変わった。私も変わりたいと思った。だから。
「はい。ユウキさんお疲れ様でした」
私は人工的な陽射しを浴び、笑った。普段の私よりもっと楽しそうな顔で笑った。実際と乖離? 知るものか。これがモデルの「ユウキ」だ。
17+1さんの「I love you」企画のララさんを出したくて無理やりひねり出した話。
例のごとく二十分クオリティ。
……無断で名前を出してごめんなさい。
最終更新:2014年02月17日 14:52