2012年04月02日 (月) 01時33分-17+1
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とは、ツイッターにおけるハッシュタグのひとつであり、140字(実質131字)という制限下で物語を書こうという試みです。以前からちょこちょこ書いていたのですが、先日ようやく300作を超えたので、その中でもお気に入り50作を加筆(は無理ですが)修正してまとめました。
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文芸部かと思ったらbungee部だった。バンジー部。バンジージャンプ部の略か。新歓のパフォーマンスで校舎のてっぺんからゴム紐つけた部員が次々と美しい軌跡を描いて飛び降りていく様は見事だったが、うちの学校は未だに木造一階建てなのでいまいちスリルに欠けていた。
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2
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砂時計は二つのガラスの部屋を砂が一方向に移動することによって、時の流れを視覚的に示してくれる。もしかして世界も二つあるんじゃないか。こことは時間の流れが正反対の世界が、もうひとつ。「んなわけないじゃない。どこであろうと人は灰塵から生まれ、最後は女の腹に還るのよ」
3
飛び出す絵本が読みたいと娘がせがむのでiPadの封印を解く決意をする。南京錠を外し鎖を弛めた途端にiPadは両手から飛び出す。家中をヒヅメで駆けるiPadを捕獲するのに小一時間。iPadを娘の前で解放すると、画面から完全にカボチャの馬車が現れて部屋が窮屈になる。
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4
密室殺人事件かと思ったら開放教室殺人事件だった。誰もが自由に出入りできる開放教室で、ごくありふれたナイフで刺殺された被害者。関係者は全員アリバイなし。不可能犯罪ならぬ可能犯罪! 無論事件は迷宮入りした。迷宮もまた、出入り口は開放されているが脱出は適わないものだ。
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5
正方形の部屋にモノクロの正四角柱が四本立っている。一本だけが細く、部屋の角からすこし離れた位置にある。その柱の上から僕は大きなサイコロをいくつも投げ落とす。サイコロの面は白一色か黒一色。最終的に巨大な二次元バーコードが完成するが、神の身許にアクセスできるか否か。
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6
図書館で借りた小説の最終ページに栞が挟んであった。手製と思われる、白い厚紙の栞。そこには『……というのはすべて夢でした。』と小さく整った文字で書いてあった。その小説の、悲しく救いのない結末を思い返した。栞を創った人物の心情を想像した。悩んだあげくその栞を棄てた。
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7
祖父は減築家だった。建築家ならぬ減築家。増築ならぬ減築。不要になった二世帯住宅を違和感なく一世帯住宅に戻したり、老朽化したお祭りの山車からランドセル大の記念模型107個を拵えたり、仕事は様々。そんな祖父も昨年亡くなった。最後の仕事は、祖父自身の部屋の減築だった。
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8
背もたれのないパイプ椅子一脚に、一匹の雄犬の魂を四重に憑依させる。このとき、九十度ずつ魂の向きをずらして重ね合わせることが、全行程においてもっとも難しく、腕の見せ所だ。四重の憑依を済ませたらパイプ椅子に跨り、犬の魂の尿意を待つ。犬は後ろ足をあげる。私は宙に浮く。
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9
愛知県のちいさなまち入来鳥市はガラパゴス化していた。市内で様々な技術が独自の進化発展を遂げ、周囲とかけ離れてしまい、ある意味陸の孤島となったのだ。孤島の多くでそれが起こるように、入来鳥市でも猟奇殺人事件が起こる。だが私の携帯はローミング不適用のため通報できない。
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10
おれたちはまだまだ初心者だからボーゲンワールドを往き来している。スピードは出ない。ハの字の位置関係になっているボーゲンワールドはいつか元の世界と交わることを予感させるが、その結果ストーリーがどう転がっていくかはまだ分からない。最初に正しい転びかたを教わったけど。
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11
極端に他者とコミュニケーションをとることを不得手だと自他共に認めている人間、通称『見知った人にも人見知り』さんたち八名を八行八列の座席に自由に座らせたところ、およそ90%の確率で八名の位置関係がエイト・クイーンの解法と一致することが調査の結果明らかになりました。
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12
緑色のプール。自動販売機の上に置いてあった錠剤と土埃。棺の中のおじいちゃん。なまこ。さわりたかったけどさわれなかったものをひとつずつ思い浮かべながら身震いする。解凍したマンモスの牙は五年前にさわることができたけど、社会をすべて把握しようにもそれは空を掴むようで。
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13
コッキョウにヨッテ人がカコワレテイルコトハセイシンエイセイ上ヨクナイ.ソウシンジたマ法ツカイハドクジに考アンシたクろマ術をハツドウサセた.シカシ効力がツヨスギテカコンデイルカたチノ物ハ全テウシナワレテシマッた.小モ字ノアルファベットハ十八モ字にヘッた.
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14
じぶんのしょうせつでせかいをかえてやるしゃかいをかえてやるじだいをかえてやるなどといきまくともだちをよこめにぼくはしょうせつをかくのだせかいもしゃかいもじだいもかってにうつりかわっていくというのにねそれよりぼくはせかいをかえさせないふへんのしょうせつをかきたい。
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太陽に顔を描き加えるのと同程度の正しさで君の肌を『ぐんじょう』で塗るよ。遠近法なんて聞いたことないってそぶりで君を一番大きく愛らしく描くよ。一枚の画用紙に君を何十人も描くよ。何百枚もの画用紙を使って君の唇を描くよ。でも創作のじゃまになるから君はどっか行っててよ。
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16
「実は小説とエッセイの区別がつかないの」と彼女は言って、「事実を書いた私小説もあるし、架空の話しか書いてないエッセイもある」と言って、それから一呼吸置いて、「実は詩もあやふやで」と言って、「もしかしたら全部……」と言って、それでも彼女の自由律俳句はまだまだ続く。
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我々は、コウノトリの脚に卵を産みつける。卵は脚の中で孵化しそのまま育っていくので、脚は赤子の形に肥大していくが、大型の彼女らが飛び立つのにさほど支障はない。洗脳された彼女らは純粋無垢な少女のもとへ飛んでいき、我々の子どもを授ける。このようにして侵略は順調に進む。
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いよいよ彼ら人型ロボットが不気味の谷を越えてあちら側からやって来る。それもこちら側からできるかぎり歩み寄ったおかげだった。私たち人間は皆、金属製の諸手を上げて彼らを歓迎する。薬の効用で表情筋はナノ単位で制御可能、笑顔も滑らか。谷底はありったけの心で埋まっている。
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柵に近寄ると羊たちはみな尻を向けてひとかたまりになるので、少年にはそれがおかしくて仕方がない。木陰にいる母親は先程から少年の麦藁帽を編むのに余念がない。麦藁は羊に食われるよりは遥かに良い待遇だと評価しているが、少年がフリスビーを欲しがっていることをまだ知らない。
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大きくなったら医者になりたい。そしたらぼくが全世界のひとを救ってあげるんだ。みんな手術で不老不死にしてあげる。不死身にもしてあげる。みんな無敵になるから敵はいなくなり、争いもなくなる。すこしの大人とすこしの子どもと、無数の成長しない赤ん坊が埋め尽くす平和な地球。
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大きくなったら大統領になりたい。アメリカの大統領になりたい。その為には絶対アメリカに行かねば、と俺は母親の腹を蹴って急かす。生れつきアメリカ人でなければ大統領にはなれないので、両親共に日本人である俺はアメリカで産声をあげなければならないのだ。胎内で野心は膨らむ。
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順不同書店の陳列は、日本十進分類法にも国際十進分類法にも則っていない。言わば無法地帯である。しかし時系列もまた順不同であるため、かつて絶版になったはずの本もいまだ出版されていない本も揃っている。順不同なので、どの本も、あなたに開かれる可能性を平等に手にしている。
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飽きたので、みんなで巨大な設定を創りました。架空の言語や歴史、生態系に神話などです。深みが出るよう、わざと複数の解釈ができるようにしたり不明瞭な部分を残したりしました。完成したら暗記して、みんなでその通りに振る舞うようにしました。あなたが産まれる一年前の話です。
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『万事休す』の『す』は自分を四字熟語の四文字目だと思い込んでいた。『皮ふ』の『ふ』や『は虫類』の『は』のように、今は交ぜ書きに甘んじているがしかるべき時には漢字表記になると信じていたのだ。かわいそうな『す』。『万』も『事』も『休』もそのままの君を愛していたのに。
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女の子から空が降ってきた。巨大な彼女は両腕と背中で空を懸命に支えつづけているが、ひび割れた空の破片が袖口をかすめてゆくのはどうしようもない。もう限界だ。杞憂ではない。このまますべてが彼女もろとも潰れてしまうのだ。僕は彼女の耳元を目指して登る。別れを告げるために。
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懐中電灯の光が及ぶ空間だけ雪が降っていてそこ以外は真っ暗闇だ。なぜならすでに夜が降り積もっているから。ぼくの頭より高い。息ができるのが不思議なくらいだ。光が貫いたところだけジュッと溶けるけどまたすぐに埋め尽くされてしまう。だからぼくの家もなかなか見つけられない。
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ふふっひっかかったなこれは罠だこの文章を読んだ君はたった今変わってしまったのだ自覚はないだろうが本当だ目を逸らしても遅いぞつむっても無駄だ読む前の君にはもう二度と戻れないいや我々はただ知ってほしいだけだ実は君の読むものすべてがそうであることにそして君が書くものも
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あらゆるものが今も休むことなく収縮しつづけている。家も扉も鍵穴も。煙草も東京ドームもメートル原器も。蛇も亀も象も地球も。およぐひとのからだも。この文章も。足並みそろえて縮んでゆく。ただ宇宙だけ、てんでのろまなものだから、他のみんなから膨張していると思われている。
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その日、学校から神社公園までのかけっこで彼は一番だった。見つけた氷柱の大きさも彼が一番だったし、鳥居に決めたシュート数も一番だった。しかし同時に、かけっこは彼がビリだった。氷柱の大きさもシュート数もビリだった。彼はすこし考えて、ごめんの電話をしに一旦家に戻った。
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30
ポーションミルクがコーヒーゼリーに抗議した。「サイズが不公平すぎます」と。ためしにお互いの容器を交換してみた。一口大のコーヒーゼリーがミルクへダイブする。あな悲しや、ほとんど飛び散ってしまった。しかしミルクは飛び散ることが仕事だと信じていたので、満足げな表情だ。
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ある夜、デジタル腕時計が吸血鬼に咬みつかれた。時と分の間に鮮やかな跡。首は首でも手首をがぶりとやられたわけだ。それ以来彼も血が欲しくてたまらない。とうとう我慢できず、友人のアナログ目覚まし時計に襲いかかった。時刻は午前三時三十秒。アラームは九時に設定されていた。
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密室蝉の成体消失は、中部地方の夏の風物詩だ。現場に残された抜け殻はきずひとつなく美しい。本当に、きずひとつない。脱皮したときの背中の破れ目がないのだ。昨年判明した密室蛇の真相は抜け殻の内部でウロボロスの蛇のごとく自らの尾を飲み込んだというものだったが、果たして。
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おやおや、昨日のこと考えてたらもうこんな時間。「ムーミンパパを真正面から見ると、何故か笑っちゃうの。無性に可笑しくて」空にはバラ色の雲が浮かんでいたが、バラなどこの世には存在しないので誰もその雲をバラ色の雲と呼ばなかった。右に回すとゆっくりと鼠径部が膨らみます。
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愛知県の小さなまち入来鳥市にもついに巨大ショッピングモールができた。どのくらい巨大かというとちょうど入来鳥市の面積ぴったりだ。訪れた市民は(みな訪れざるをえない)、モールの洗練された意匠に感涙する。涙は蒸発し空色の天井に雲ができる。雨が降る。川ができる。芽吹く。
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“思い感じたことを自分の言葉で表現する時代は終わりました。あなたが書きたい文章はすでにネット上にあります。検索技術も発達しています。日記程度ならブログの記事を三つほど見繕えば事足りるでしょう。なあに、これからは記事を『深い意味を持つ文字』と捉えればよいのです。”
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センサーというセンサーが誰かを待っている。地下鉄駅の音声案内。コンビニの自動ドア。大小さまざまなタッチパネル。愛玩動物を模したロボット。手と手を繋いだ二人の相性を測るおもちゃ。今しがた一陣の風が通り過ぎていったが、その程度では何一つ反応しない。ただ埃が動くだけ。
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あの日以来、大丈夫と打つたびに予測変換でV(^-^)Vが出てくる。なんとなく毎回そのままV(^-^)Vを添えるようになった。ケータイに誘導されている気がした。英語で話すとき自然と英語で話しやすい内容を話している、みたいな感じ。あの日は全然大丈夫じゃなかったのに。
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通販で買った睡眠学習教材のおかげで僕の成績はぐんぐん上昇した。今日のリスニングテストも楽勝だ。抜き打ちだからみんなは文句言ってたけどね。それにしても、ただ寝ながらテープを聴くだけなのにこんなに答えがすらすら浮かぶなんて信じられないよ。十五分も時間あまっちゃった。
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『箸は三本のほうが使いやすい』という学説が発表された。当然ながら提唱者は箸を用いる文化園に属していなかった。ゆえに固定観念に囚われなかったとも言える。学説は当初物議を醸したが、三本の箸で容易に地球食をついばむ幼児の動画がネットで流行し、やがて異文化は改変された。
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「敷かれたレールの上を進む人生は嫌だって? やったことないくせに」そう言う姉貴に真夜中連れ出され、近所の線路を歩かされた。でもこれが超スリリングだった。有名な小説を思い出したけど、たくさんの人が真似してそうだけど、そんな前例は関係なかった。完全に僕の経験だった。
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41
おねしょの夢から目覚めるとそこはプールだった。「やっぱり逆だな」呟きつつ浮き輪から脱出する。最近ずっと定番と正反対の夢/現実ばかりで、あまり眠れた気がしない。ちょうどデッキチェアが空いていたので二度寝しようと寝転がった。勢い余って転げ落ち、そこで再び目が覚めた。
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42
ぼくはもう退屈すぎて眩暈しそう。地球全体が間違い探しになっちゃったんだけど、裏技知ってたから。立体視みたいに寄り目になって二枚の絵を重ねたら一発なんだ。残った謎は、この間違い探しが生まれた理由そして結局どっちの絵が正しいのかってこと。そんなことわかりっこないよ。
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43
世界はもう退屈すぎて眩暈しそう。地球全体が間違い探しになっちゃったんだけど、裏技知ってたから。立体視みたいに寄り目になって二枚の絵を重ねたら一発なんだ。残った謎は、この間違い探しの存在その理由そして結局どっちの絵が正しいのかってこと。そんなものわかりっこないよ。
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UFOからUの字が削られる記念すべき日であった。今日のために用意された発着場めがけて銀色の円盤が降臨する。そのとき、とある記者は四年前に素人の投稿写真を無下に扱ったことを独り悔やんでいた。円盤の上部中央からは蜘蛛の糸のごとく細いアンテナが伸びている。どこまでも。
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僕の緑の声は真っ赤に見えると初対面で言われた。銀鼠と主張する彼女の声こそ僕には赤く見えた。やっぱり彼女は僕とは見える色が違っていた。共感覚者同士で一致しないって本にも書いてあったのに期待するのが悪い。二年間そう思っていた。披露宴のDVDで僕たちの声を聞くまでは。
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三本足のリカちゃんが靴下を履いている。靴下の上から靴下を履いている。他の二本は裸足のまま、真ん中の足にいくつも重ね履きしている。靴下の丈は次第に短くなっていく。もこもこになった真ん中の足をくるぶしソックスにねじこんだところで準備が整う。ハノイの塔ごっこが始まる。
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47
輪廻転生について考えると、いつもこの世の始まりまで遡る。当時の個体数は現在よりも圧倒的に少ないから。再利用するには魂が足りないはずだから。だけど、地球じゃないどこかで何かが滅びかけていて、それで釣り合いがとれているのかもしれない。そこをあの世と呼ぶのも悪くない。
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少年は凄まじい記憶力を有していた。見たものすべてを正確に憶え、けして忘れることがなかった。これを恐れた両親は少年の両目を分厚い布で覆った。結び目は大層きつく、少年の記憶の大部分はサイケデリックな模様となった。お気に入りの柄があって、いつでも取り出すことができた。
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今は亡き地球に置いてきた妻が、私の右膝に人面瘡となって現れる。切り落としても切り落としてもすぐにまた生えてくる。その度に顔の向きが異なるのは、シャトル内がほぼ無重力状態にあるからだろうか。重力屈性。顎を左の膝頭にぶつけながらけらけらと笑う様子は何とも哀れである。
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50
ついに完成しました。すべての物語を統一する設定が。現実世界のあらゆる現象がいくつかの公式によって矛盾なく位置づけることができるように、あらゆる物語もまたいくつかの設定によって矛盾なく位置づけることができるのです。そういうわけで、お隣さんに挨拶しに行ってきますね。
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最終更新:2014年02月17日 15:22