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お題「三つのJ」

2012年04月20日 (金) 12時16分-水無原

 長年就いていた職を、順風満帆に辞めることになった。相棒でいてくれた彼女と一緒に、だ。仕事を引き継ぐ男はとても優秀で、業務を滞りなくこなしてくれるだろう。最後の仕事が残っているが、それはいつでもできる仕事だし、要するに僕らは時間を持て余していた。そんなある日。

 トランプをしよう。彼女が言った。
 トランプのカードを探すのに、三十分を費やした。
 七並べはカードの欠けを探すのにちょうどいい、というのが僕らの間での共通認識になっていた。何年前のものか定かでないカードを、彼女の手が混ぜる。
「二人で七並べは、盛り上がらないかも」
 配りながら彼女は言ったが、実際は大いに盛り上がった。僕らはお互いにポーカーフェイスが得意なのを知っていた。
「ねえ、ここのジャック、早く出してよ」
「え、君が持っているんだろう?」
 くすくすと笑いながら言い合う。恋人のような睦まじいやりとりは、他の人間が見たら御馳走様と手を合わせたくなるほどだろう。
「ジョーカー、なかなか出ないねぇ」
 欠けたカードが多すぎて、ゲームが立ち行かない。お互いに「パス」と言い合って、もう終わりにしようか、と目配せをして。
 自らのパソコンデスクに向かい、画面を見る。スカイプの画面に、僕らが「J」と呼んでいるやつの呆れ顔が映る。
『で、君たちの人生を終わらせればいいの?』
「うん。お願いね、殺し屋さん」
「僕たちが『J』だったとばれないように」
「かつ、なるべく痛くないようにお願いね」
『了解したよ、先代どの』

 どこからか機械音がする。これはきっと彼女の頭を打ちぬく弾丸の音だろう。僕はまだ死にたくない、第二の人生を謳歌したいのだし、そのように「J」に依頼したのだかrrrrrr
どうしてこうなった。
最終更新:2014年02月17日 15:25