2012年05月07日 (月) 21時09分-竹之内 大
「おかしいでしょう。この年の1月6日の記録だけ残ってないなんて」
そうまくしたてる僕に対して、気だるげに編集長は応える
「たまたまだよたまたま。そんなの誰かが捨てちまったんだろ」
「そんなわけないでしょう。新聞だけじゃなく、ラジオにテレビの記録もない。天気だってこの日のものだけ残ってないんですよ?」
「へー。なんか面白いですね。」
いつの間にそこにいたのか、新人の女の子が口をはさんだ。
編集長が顔をしかめる
「仕事しろよ」
「ちょっとくらい、いいじゃないですか。ネットでは調べてみたんですか?」
僕の返事も聞かず、彼女はパソコンをいじりだす。編集長のお小言も彼女は聞いているのやら…
「本当に何も出てこないんですね。」
何度か検索してみたようだが、この日にかかわることは何も引っかからなかった。当然といえば当然の結果だ。僕もそのくらいはやってみた。
「おかしいだろう。君はどう思う?」
「えっ、先輩、本気で言ってるんですか?」
彼女がそう言って僕を見つめるので、少々面食らってしまった。彼女にはどういうことか分かったのだろうか?
「ど、どういうこと?」
「決まってるじゃないですか」
彼女は思わせぶりに顔を寄せる
「陰謀ですよ」
「はぁ~?」
思わぬ答えに脱力する僕には目もくれず彼女は続ける。
「私はアメリカ政府が噛んでると思いますね。謎の組織がかかわってるのかも。おそらくこの日、国民に知られてはいけない秘密が漏えいしちゃったんです。だから…」
「だからこの日の記録をすべて消したって?お前バカも休み休み言えよ」
編集長は得意げにしゃべっていた彼女の頭を手に持っていた書類でペチリとはたく。
「何するんですか!」
「ちょっと考えてもみろよ。もしおまえの言うとおりだったとしてなんですべての記録を消す必要がある?その情報だけを消すなり差し替えるなりすればいいだけだろ?」
「じゃあ編集長はどうだっていうんですか!」
突っかかるように彼女が聞く
「だからいっただろ?偶然だよ。長く生きてるとわかるけどな、この世の中起こりそうもないことが起こったりするんだよ。」
「そんなこといくらなんでもあり得ませんよ。」
僕も思わず反論してしまう。僕と彼女にまくしたてられ、編集長は心底うんざりしたというように僕たちから顔をそむけ煙草に火をつけた。
おもむろに編集長がこちらに向き直る。いつもはやる気のない編集長の、常とは違う真剣なまなざしに思わずたじろぐ。
「この年には1月6日が存在しなかった」
…えっ?
「何言ってるんですか編集長。そんなことあるわけないじゃないですか」
…そうだ、彼女の言うとおりだ
「じゃあお前、それを証明できるか?」
…証明?
「だって1月5日の次の日は…」
「そう。普通なら1月6日だ。だがこの年は6日がなくて7日だとしたら?そしたらどうだ?」
常とは違う編集長の雰囲気に僕らは気圧される
でも、そんなわけない。そんなことあるはずない。だって…
だってその日は僕の誕生日なのに
期限に間に合わなくて申し訳ないですが投稿させてもらいました
最終更新:2014年02月17日 15:29