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お題「雨」(すばる)

2012年07月08日 (日) 23時32分-すばる

 雨だ。
また、雨だ。
どうして、こんなにも雨が続く? 決まっている。すべての因果は、やつらにある。反故にされた、古い契約。傲慢にして、他を顧みない決定。古くからの暦を変え、都合の良いように改変する。そのせいで、この日によく雨が降るようになった。一年に一度の待つべき日は、一体何年前以来か。雨が膜になって、なにも、見えない。彼女は今、どうしているのだろう? わからない。私と同じように、雨を、やつらを呪っているのだろうか。私は、呪う。私たちの思いを踏みにじりながら、私たちの犯した罪科を、傲然と続けている。何の咎めもなしに。加えて、私たちのことなど少しも心にとどめない自分勝手な望みを祈る。
それでも、従い続けるしかなかった。結局私は、やつらの支配下にあると知っていたからだ。だがそれももう限界。たとい敵わずとも一矢報いようと、復讐を定め、武装し、蜂起する。

 また今年も、雨が降った。今日ほどに、雨を恨めしく思った日はかつてないだろう。昨年までは、この日が雨になると胸をなでおろしたものだ。何とかしてごまかす必要がなくなるから。だって、一年に一度しか会えないなんて、そんなのほとんどいないのと同じじゃない。遠くの親戚よりも近くの他人っていうみたいに、年に一度しか会えない男よりも近くの男の方を取るのは全然おかしくない。誘惑に負けたことも、仕方がないと思う。だけど、その彼に、捨てられた。鬱陶しいとか言われた。あの男、どこの馬の骨ともわからない娘に惑わされて、私から離れていきやがった。だから、よりを戻すことにした。やっぱり、少しおかしくなっていたんだ。あんな男よりも、彼のほうがずっといいのに。いつでも会えるような男よりも、めったに会えないほうが、ロマンスがある。だけど、そのいつかは、いったいいつ、来るのだろう。

 七夕の日に降る雨は、織姫彦星の涙なのだという。

最終更新:2014年02月17日 15:48