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今週のお題「セリフから始まる」(すばる)

2012年10月21日(日) 10:46-すばる


「保険金殺人って、あるじゃん」
「ああ、家族とかに高額の保険金をかけて殺すというやつね」
「そう、でもあれって、保険金目的ってわかったら受け取れないらしいね」
「そもそもその時点で、警察につかまるでしょ?」
「そうだね。警察だって、不審死体が見つかったら保険金なんてすぐに調べるだろうしね。だけど死体が見つからなければ、保険は受け取れない」
「だからそんなの、無謀よ。コツコツと働いたほうがずっと建設的」
「確かにそうだね。だけどそういう事件は後を絶たない。犯罪者たちは、あの手この手で事故や病気に偽装する」
「たとえば?」
「有名なところで行くと、ヒ素かな? 少しぐらいならひどいことにはならないんだけど、長期的に摂取し続けることで、体内にたまってやがて死を招く」
「怖い話ね」
「ああ、でも、ヒ素が体内にたまっていると、死んでからも腐乱することなく体が残るらしい。あと、ヒ素はやっぱり毒だから、食べ物に混ぜると味が変になるらしいんだ。だからそれをごまかすために、味付けが濃くなるらしいね」
「やっぱり毒だものね。確か苦味とかは、大昔から毒のサインだったみたいね。ゴーヤとかもあるけど」
「でも最近、食べ物はどんどん味付けが濃くなってる。この前久々に食べたカップ焼きそば、あんまり濃い味だったから、一口目でむせちゃったよ」
「ああそれ、わかるわ。ところてんの一口目でむせるのと、似ているわね」
「ああ、あれはむせるね。ちょっと違う気もするけど。あれはなんであんなにむせるんだろう?」
「スープ、みたいなのが思いのほか強いからじゃない?」
「確かにそうかもね。でもそれでいったら、焼き肉とかの方がよっぽどむせるでしょ?」
「ところてんはすするもの。麺みたいに。だから汁が、喉の奥にまで一気にくる」
「なるほど、すする、か。そういえばあれ、外国人はできないらしいよね」
「そうなの?」
「うん、なんか、文化がない以前にできないらしいよ。理由は知らないけどさ」
「へえ、はじめてきいたわ。骨格の問題かしら?」
「知らないよ、そんなことまでは。学者にでも聞いたら?」
「学者の知り合いなんていないわよ。それにああいう人たちって、自分の専門については詳しいけどそれ以外はそんなになんでしょう? どういう人に聞けばいいかもわからないわ。本当に骨格の問題なのかもわからないし」
「だったら医者にでも聞いてみたら? 今度病院行ったときにでもさ」
「ええ? そんな時にそんなこと聞きたくないわ。それに病院も、正直あまり行きたくない。不吉な気がして。ほら、この前も」
「佐藤さんとこの貴君か。確かにあれは、気の毒だった」
「お風呂に入っていて、事故に遭ったらしいのよ。かわいそうに、もうすぐ小学校入学って時だったのに」
「その上司法解剖に回されるとかで、まだ戻ってきていないらしい」
「そんな。あんな小っちゃい子の体を、さらに切り裂くなんて。ひどい。だいたい家の中で誰が貴君を殺すっていうの? あんな仲のいい家庭だったっていうのに」
「でもあの家の御主人、最近株で失敗して借金作ったって」
「それがどうかしたの? そんなこと、貴君の事故には関係ないでしょ?」
「保険金殺人って、あるじゃん」

 

最終更新:2014年03月17日 19:10