2012年10月24日(水) 20:51-鈴生れい
注:「退屈をこじらせる」「うざい人たち」の続きです。先にそちらをお読みください。
世間的には夏休みが明けてから最初の週末。
買い物に出ていた私が部屋に帰ると、学校が始まって以来顔を出していなかった萌が神妙な顔で部屋の真ん中にぽつんと座っていた。
暑かったのかクーラーがついている。わたしはクーラーをあまり使わないが、萌が来ると当然のようにつける。今度から電気代を請求しようか。クーラー代結構バカにならないのだから。
とはいえ、小5のガキがあまりに似つかわしくない顔で自分の部屋にいるというのは気分のいいものじゃない。勝手に入られることについてはもう慣れたが。
「おい、何してんだ」
買ったものを詰めた手提げ袋を机の上に置きながら、わたしはゆっくりとその場に腰かけた。9月に入ったとはいえまだ上旬、汗が不快に垂れてくる。
萌は黙ったままこちらを見つめていた。瞳が妙に潤んでいる。まぁ、あのくそ生意気で勝気な萌が、この時期にこんな顔をする理由など想像はつく。
「フラれたのか」
瞬間、じわっと萌の目尻に涙がにじんだ。
本当は萌がフラれたら思い切りバカにしてやろうと思っていたのだが、・・・・・・しかし、こういう時こそ二十歳になった私の母性の見せ所というやつじゃないのか。
そんな下心ありありのまま、わたしはそっと両腕を開いた。
普段ならば鼻で笑うのに、よっぽどショックだったらしく萌は素直にわたしの胸に飛び込んできた。途端、ううううと咽び始める。
さらにリズムよく優しく萌の背中を叩いていると、萌は本格的に泣きじゃくり始めた。
―――彼女の泣きわめく姿も、これほど弱々しい姿も、わたしは初めて見た。
何しろ普段が普段、憎まれっ子と言って差し支えない彼女のことだ。特にわたしに、弱みを握らせるような真似などしない。
けれど今日ばかりは、わたしも日頃の恨みはぶつけまい。たまにはお姉さんぶってもいいじゃないか。
・・・・・・という思いが半分。残り半分は、そう、わたしは萌が羨ましかった。失恋して泣いてしまえるほど、一途な恋をできたことに。
萌はずっと泣いている。感傷的な気分。わたしも泣いてしまいそうだ。少しずつ、目の端が熱くなっていく。
女一人子供一人が泣きあいながら抱き合うという、わたしが美人なら絵になりそうな状況。
そんないつもとは180度ほど違う雰囲気を、最初にぶっ壊して元に戻したのはやはり萌であった。
「空、臭い」
しゃくりあげながら、「臭い」わたしの腕の中で暴言を吐いたこのクソガキを、思わずわたしは「臭い」胸と腕で絞め殺しそうになっていた。
*
ひとしきり涙し、あのとんでもない暴言を吐いた後、萌は何も言わずに自宅に引き上げていった。わたしの感傷を返せよ、マジで。
そんなことがあったのが、先週の金曜日。
一週間経った土曜日、わたしが目を覚ますと、目の前に二人の子供が鎮座していた。
一人は言うまでもないが、もう一人は見覚えのない男の子だった。というか、男の子・・・・・・。
「萌、あのさ、わたし一応女なんだけど」
「え、そうだったの?」
白々しく目を見開いていた。もう、いつか本気で殺りかねない。いっそ今好きな子の前で素っ裸にしてやろうか畜生め。
どうあがこうともう遅いので、所在なさそうに部屋の隅に座っている男子を尻目に、わたしは布団から這い出した。適当なTシャツと、面倒だったから確か下はパンツ一丁だ。いくらガキとはいえ、他人に見られて気分のいい恰好じゃない。
わたしが着替えている間、男の子は壁を向いていた。なるほど、いい子そうだ。陽子(大地の彼女)といい、篠山側は酷いのにその相手はいい人ばかりである。
「もういいぞ」
「ご、ごめんなさい」
壁に向かったまま、男の子は震える声で謝罪していた。ここまでくると色気の欠片もないわたしごときのために可哀想である。
ああでも、これだけ反応してくれるならこの方向で彼をたぶらかすのもありか。萌が面白いリアクションを見せてくれそうだ。
心の中で計画を練りながら、とりあえずわたしは萌をふん縛ることにした。
*
「つーか、お前フラれたんじゃなかったの?」
トースターに食パンを突っ込みながら、わたしはひっ捕らえられた萌に尋ねた。
「まずはこのビニールひもを解いてよ。話はそれからするから」
「じゃあいいや。えっと、翔己くんって言ったっけ? 萌をこんな生意気なガキ嫌だっつってフッたんじゃないの?」
彼は貝塚翔己というらしい。萌より一つ年上だそうだ。ただ随分幼い外見をしていて、割と身長の高い萌と並ぶと年下に見える。
保健室登校の理由については、詳しく聞いていない。
「え、えっとその・・・・・・」
しどろもどろ。どうやらいきなり恋人の従姉、それも自分で言ってて悲しくなるが男っぽい女子大生に会わされてテンパっているんだろう。
うーん、見た目だけなら大学に入ってからそれなりに女っぽくなったと自負しているんだが、如何せん口調と性格があれである。大学二回目の夏休みを超えてなお、浮いた話の一つもないのは悲しい。
ともあれ、萌ならどうでもいいが目の前にいる少年は初対面だ。助け船を出してやろう。
「あれか、萌にしつこーく付きまとわれて折れたのか? 困ってるんだったらわたしが処理してやるが」
「処理って何する気よ! 空が言うと怖いんだけど!」
何もそこまでというぐらい顔を青ざめながら叫ぶ萌。現状が現状なのであれだが。
そろそろ縛るだけじゃワンパターンだし、何か別のお仕置きを用意した方がいいかな。もっと精神的に来るやつの方がいいか。
新しい体罰法を思案していると、翔己が意を決したように口を開いた。
「あああああの、空・・・さんって本当に萌さんのお母さんなんですか?」
「あ゛あ゛んっ!?」
ひっと翔己が縮み上がった。そのまま壁際まで後ずさる。っといけない、想像を絶するぐらい失礼なことを言われたとはいえ、わたしの凄みに慣れていない翔己には少々酷な仕打ちだ。
仕打ちするならこの事態を引き起こし、今もぶるぶると肩を震わせる萌にやらなくては。
「ああ、ごめん。自己紹介がまだだったが、わたしは篠山空。萌の従姉だ。年は二十歳。いくらなんでもこの年齢のガキを持つ母親には見えないだろ」
「は、はい。ごめんなさい」
「あやまんのはいいから、少し萌に制裁加えるの手伝え」
「ちょ、ちょっと翔己くん、まさか裏切ったりしないよね・・・・・・?」
「どうするんだ翔己、さっきの件、これを手伝ったら許してやるぞ」
「え、ええと、」
「迷わないでよ。こんな悪魔に誘惑されないで!」
「今のでさらに罪が重くなったな。さぁ翔己、て・つ・だ・え」
*
「空ってさ、大人気ないよね」
「何を今更、一年半もつるんで」
萌を布団でぐるぐる巻きにし、ビニールひもで縛り上げると、すっかりトーストが冷めていた。仕方ないのでそのまま口の中に放り込む。
「だってさ、ちょっとからかっただけじゃん。まさか翔己くんも本気にすると思ってなかったし」
「聞いたか翔己、これがお前が付き合ってるやつの本性だぞ」
翔己はまた壁に向けて、今度は体操座りをしていた。返事はない。
確かに、見てくれは身内の贔屓目を覗いても可愛いのだ。ただ性格がご覧の有様、性悪とすら言いたくなる始末なのに、どうしてこんなやつに告白するバカたちが後を絶たないのか。
ふぅと一息ついて、時計を見るともう12時だ。少し寝すぎたかもしれない。
「何か食べるか。と言ってもうちにはまともな飯はないが」
「あ、萌ハンバーガー食べたい」
「お前は自分で買え。翔己はどうする?」
さっきから不憫な事態が連続していることだし、ついでに大人気ないところばかりを見せているわたしの名誉挽回も含め、翔己には何か奢ってやろう・・・・・・千円以内で。
自己嫌悪から抜け出したのか、翔己はこちらに振り返った。
「あ、いえ、その、そんな・・・・・・」
「いいから。萌と一緒でいいか」
「え、あの、えぇと、・・・・・・はい」
普通なら、初対面の相手に昼飯をこしらえてもらうのは失礼だろう。翔己もそこら辺はよく理解している。萌には本当もったいないぐらいいい子だ。いっそ8歳差もありか?
なんて戯言はさておき、失礼だからと言って遠慮されても、翔己一人ご飯を食べないのはこちらとしても気まずい。子供は素直に奢ってもらうのが一番である。萌ほどあからさまなのはどうかと思うが。
「んじゃ決まりだな」
「空、原チャリで行ってきてよ」
「お前がひとっ走り行って来い」
「遠いじゃん」
通学用に原チャリはあるが、燃料がもったいない。その点チャリンコなら燃料は自分だ。実家から持ってくるべきは原チャリではなくチャリンコだったかもしれない。確かに遠いとはいえ、わたしならチャリでOKだ。
あーっと、実家っつったら思い出した。
「萌、今度のシルバーウィークだが」
「ああ、実家に帰るんでしょ」
そう、この前大地が来たとき聞いた。いい加減一度帰って来いと親父が言っているらしい。大学に入ってからこの1年半、1回も家に帰ってないのだから当然と言えば当然か。
「萌も行く」
「は? 叔父さんたちも一緒に帰るのか?」
「ううん、萌と空で」
なんだそれ、引率しろってことか、面倒くさい。
「叔父さんは良いって言ってるのか?」
「うん」
なんなんだ。叔父さんは自分の娘をなんだと思ってるんだ。篠山の親父は自分の娘を男だと思ってないか。
ふと自分の親父が脳裏に浮かんだ。元気にしてるんだろうな。そうじゃない親父が想像できない。
「し、篠山さん、その恰好で普通に会話しないでよ・・・・・・」
翔己が笑っていた。篠山さんと言うので一瞬わたしのことかと思った。付き合ってるのに、名字呼びかよ。奥手な。
「じゃあ助けてよ!」
「それは、その・・・・・・」
利口な子だ。さて、ハンバーガーを買いに行ってくるか。
*
帰ってくると、萌は簀巻き状態から抜け出ていた。
同時に、どういう具合か翔己と萌が布団の上で横になっていた。
一瞬、頭の中が真っ白になったが、耳を澄ますと寝息が聞こえる。どうやら寝てしまっているようだ。
一体全体どういう経緯でこんな珍事に陥ったのか見当もつかないが、これは面白い。まずは写メっておこう。いや待て、シャッター音で起きる可能性があるし、最初にやるべきはあれだ。
思い立ったが吉日、揃って窓に背を向けて寝ている二人に忍び足で近づき、揃って窓に背を向けている状態を改善する。萌は寝相も寝起きも悪く、多少の刺激では目を覚まさないので好都合だ。
仲良く面を合わせたところで、通学用のカバンに突っ込んである携帯を取り出し、パシャリ。
「・・・・・・ん?」
翔己の方は眠りが浅かったらしく、案の定シャッター音で起きてしまった。音を消せるのが一番いいのだが、そんなことができるのかまでは知らない。わたしはあまり機械に強い方ではないのだ。アウトドア派だし。
目を覚ました翔己は、眼前を注視して、リンゴもびっくりなぐらい顔を赤く染めた(青リンゴじゃないよ)
「し、しの、・・・・・・」
「翔己、起きたか?」
さも今気づいたかのように声をかけるわたし。我ながら名演技だ。
「え、と、その?」
「仲良く昼寝してたところ悪いが、昼飯買ってきたぞ。とりあえず食べようか」
ファーストフードの匂いはきつい。いくら萌の寝起きが悪いといっても、これだけきついのだからそのうち鼻をひくつかせて起きてくるさ。だから今は寝かせておいてやろう。
きっと今週は大変だっただろうし。
「ほら」
紙袋からハンバーガーを取り出すと、いよいよあの独特なにおいが部屋を満たした。これで起きないのであれば、それはそれで起こすのが可哀想なので放っておこう。
注文を聞き忘れたことに店に到着してから気付いたので、無難なものを選んできた。今時の子はハンバーガー3つあれば満腹になるかな。わたしは昔大食らいだったので、3つじゃ足りなかったが。
「あ、ありがとうございます」
律儀に布団に座ったまま礼をして、翔己はハンバーガーを1つ受け取った。
そうそう、さっき帰って来てから気付いたのだが、今日もクーラーがついていた。多分昨日うちに泊まっていった萌が翔己を連れて戻ってきた際に暑かったからだろうが、これはやはり電気代を萌か叔父さんに請求しよう。
「あの、空さんは食べないんですか?」
「ん? ああ食べるよ」
買ってきた本人より前に食べることを無礼だと思ったらしい。本当いい子。爪の垢を萌に食わせてやりたい。あのクソガキめ。
待たせても悪いので、わたしも食べることにした。とはいえ先ほどトーストを食べたばかりだし、買ってきたのは1つだけだが。
いや、買う気はなかったんだ。ただあの匂いに釣られたというか。無性に食べたくなったというか。
言い訳を心の中で重ねながら、わたしはハンバーガーにかぶりついた。昔はハンバーガーと言ったら大はしゃぎしたものだ。親父には「体に悪い」と言われほとんど食べさせてもらえなかったが。
無言。心の中で饒舌なわたしは勿論、翔己もただ食べることに集中しているようだった。
だが萌が寝ている今、翔己と二人きりになれる唯一といっていい機会だ。ここは少しばかり翔己と会話をしてみよう。それ以前に確認しなくてはならないこともある。
「翔己」
「は、はいっ?」
・・・・・・なんだろう、わたしってそんな怖いかな。無意識なんだろうけど声が上ずっていた。一人の女として泣けてくる。
こうなったら、あまり柄じゃないが、少し女っぽい口調で頑張ってみるか。
「おま、いや、君、萌と付き合ってないんだろう?」
あ、これはダメだ。もう少し頑張らないと。
ともかく、初めこそ付き合いだしたから連れてきたのと思ったが、萌も翔己も断言してはいない。萌の性格上、そういったことは自慢してくるだろう。それに、なんとなく二人の間に距離を感じるのだ。
「え、と。はい」
迷うことも、悪びれる素振りもなかった。後ろめたい様子もない。慌ててもいない。平静。
「萌が一方的に付き纏ってるの?」
「い、いえ、そういうわけでは・・・・・・」
翔己は少しだけ視線をわたしから逸らした。否定したいが否定できないのか、肯定しかねるが否定もできないのか。
「遠慮しないで。今は萌も寝てるし、わたしは萌の味方ってわけじゃないから」
「え、遠慮してるわけじゃないんです。ただ、その、悪く言えばそうなるかなって」
わたしは萌をちらりと見た。
「さっきも言ったけど、迷惑ならよく言って聞かせ「迷惑なんかじゃありません!」
言葉を遮って、翔己は叫んだ。初めて彼が働いた無礼だった。彼が出した大声に、少し気圧される。
一旦深呼吸をして、翔己は続けた。
「ぼくは、保健室登校をしてます」
知ってる。それがきっかけでわたしは萌から翔己の話を聞いたのだから。
「体が悪いわけじゃないんです。ただ、教室に入ると気持ち悪くなって・・・・・・」
「そう」
「はい。だからぼく、友達いないんです」
「うん」
「でもしの、萌さんはそんなぼくに話しかけてくれて、それで付き合ってくれなんて言われて」
「・・・・・・」
「そのとき、僕びっくりしてごめんなさいって言って逃げ出したんです」
先週末の金曜日、萌が泣いたのはそれが原因か。
「だけど萌さんは、それでもぼくに話しかけてくれて。すごく嬉しかったんです」
「うん」
「だから迷惑なんてとんでもないです。今日はびっくりしましたけど」
あははと笑う翔己。それに引きずられて、わたしも少し笑った。
「そう、ならいいの」
萌、いい子を見つけたな。
*
翔己が一通り食べ終えたところで、わたしは再び訊ねた。
「それで、萌と付き合う気はないのか?」
もうそろそろいいだろうと口調を元に戻した。ついでに目の端でぴくりとあれが動いたのを確認する。
翔己は、顔を真っ赤にした。
「そ、それは、ぼく友達いないから、お付き合いなんて考えられなくて・・・・・・」
それもそうか。友達いないやつの気持ちはわたしには分からないが、友達いないのに恋人いるというのも変な話か。それも小6で。
「萌が好きだって言ってんだし、遊び感覚で付き合ってやってもいいんだぞ」
「そんなことできません!」
「そうか。・・・・・・いつかは、決着をつけてやってくれよ」
萌のためにも、翔己のためにもな。
「わ、分かりました」
「だとさ、萌ちゃん。翔己は萌ちゃんみたいな性悪女と付き合えないってさ」
「そんなこと言ってないじゃん!」
萌が飛び起きながら吠えた。その顔は翔己と同じく。
先ほど、具体的に言うと翔己の独白辺りから、起きているのは分かっていた。萌も悪だなしかし。
当たり前と言えば当たり前か、翔己は全く気付いていなかったようで、目を真ん丸にしていた。
「し、篠山さん、起きてたの・・・・・・?」
「う、ご、ごめん翔己くん。全部聞いちゃった」
黙っていればいいものを、バカ正直に告白する萌。対して、顔を赤色へ青色へとグラデーションさせている翔己。
ここでさらに爆弾投入。
「そうだ、この写真見てみないか?」
言いながら、仲良く同じ布団で向き合いながら寝ている写メを見せてみる。
「こ、こんなっ」
「あ、あはは・・・・・・」
火を噴きそうな顔で写真を見つめる萌と、目を回している翔己。ここまで弄れれば上等だろう。面白かった。あっはっは。
一しきり笑ったところで、わたしはお茶を淹れようと腰を上げた。すると、萌がズボンのすそを引っ張ってきた。なんだというのか。
「なんだよ。まだ弄られたいのか?」
冗談めかして言うと、いつになく真剣な様子で、萌は上目遣いに睨んできた。
ちょっとからかい過ぎたかなと1ミリグラムほど反省していると、萌が低い声音で言った。
「萌のハンバーガー、は?」
「えへへ」
我ながらキモいと思う。
違うんだ。本当は何かしら買おうと思ってたんだ。でも財布事情が冬だったんだ。仕方なかったんだ。
ハンバーガー1つ200円。お財布の中には0野口さん。推して察するべし。
「何キモい笑いことしてんのよ! 食べ物の恨みは恐ろしいのよ!」
「って、わたしの金じゃん! 奢らなかったからって恨まれる筋合いはねぇ!」
「わたしだけ昼飯なしってのが気に入らないの!」
ええいうるさい従妹め! 怒られる理由が理不尽だっつーの!
ぎゃいぎゃいと言い合うわたしと萌を見て、何を思ったか翔己は微笑みながらこんな一言を口にした。
「仲、良いんだね」
「んなわけないじゃん!」「そんな馬鹿な」
ほら、揃ってないし。
可愛げのない可愛い従妹だ、本当に。
だんだんクオリティが下がっている気がする3作目です。
たぶん次回が最後です。最後にして一番長くなる予感。
本当は萌と翔己の恋愛模様を描こうと思ったらどうしてこうなった。最初は空が後に萌から聞いた話という形にしようとしたのですが、思った以上にシリアスになりそうだったのでやめました。
ミステリアスだったはずの翔己。結局一番の常識人に。