この語はAをBとして「ウパース」する、というように用いられ、
しばしば「崇拝する」と訳される。
しかし崇拝という訳語から、神などに対して敬虔な心をもって帰依(きえ)することを
「ウパース」の語義と解してはならない。
ブラーフマナ文献の背景をなす祭儀主義の時代には、神々はもはや古来の高い位置を失い、
それに代わって
婆羅門が絶対の権力を握っている。
婆羅門は神を強要し、万象の背後にある力を支配することができる。
ウパースとは、このような支配力を発揮するために、
事象に「近接する」ことに他ならない。
AをBとしてウパースするというのは、Aに近接し、それを意のままに支配して、
最高価値をもつBに同一化すること、すなわち
AをBとみなすことによってそれを
崇めることなのである。
こうして祭式の諸契機や人間の諸機能が、大宇宙の神格や最高原理と対応させられ、
神秘的に同一化された。
最終更新:2007年07月23日 01:23