ウパース

ウパニシャッド」の語根と同じく、「近く」「坐る」を意味する動詞

この語はAをBとして「ウパース」する、というように用いられ、
しばしば「崇拝する」と訳される。
しかし崇拝という訳語から、神などに対して敬虔な心をもって帰依(きえ)することを
「ウパース」の語義と解してはならない。
ブラーフマナ文献の背景をなす祭儀主義の時代には、神々はもはや古来の高い位置を失い、
それに代わって婆羅門が絶対の権力を握っている。

婆羅門は神を強要し、万象の背後にある力を支配することができる。
ウパースとは、このような支配力を発揮するために、
事象に「近接する」ことに他ならない。

AをBとしてウパースするというのは、Aに近接し、それを意のままに支配して、
最高価値をもつBに同一化すること、すなわち
AをBとみなすことによってそれを崇めることなのである。

こうして祭式の諸契機や人間の諸機能が、大宇宙の神格や最高原理と対応させられ、
神秘的に同一化された。







最終更新:2007年07月23日 01:23
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