エクスカリバー

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エクスカリバー(英語: Excalibur)は、アーサー王伝説に登場する、アーサー王が持つとされる剣。魔法の力が宿るとされ、ブリテン島の正当な統治者の象徴とされることもある。同じくアーサー王伝説に登場し、アーサーの血筋を証明する石に刺さった剣と同じものとされることがあるが、別物とされることもある。

エクスキャリバー、エスカリボール、エクスカリボール、カリバーン、キャリバーン、コールブランド、カリブルヌス、カレトヴルッフ、カレドヴールッハなど様々な異称があるが、これらは英語、フランス語、ラテン語、ウェールズ語の発音の違いや写本の表記の揺れで生じたものであり、すべて同じ剣を指す言葉である。エクスカリバーはアーサー王伝説の初期から登場している。

カレトヴルッフ


ウェールズの伝承にはアルスル(アーサー)の剣としてカレトヴルッフが登場する。これは caled(硬い)+ bwlch(切っ先、溝)の意味であるという。この剣は、タリエシン作とされる詩『アンヌヴンの略奪』(Preiddeu Annwfn)、および後世にマビノギオンに集録される『キルッフとオルウェン』(Culhwch ac Olwen, 1100年頃)に名前が見え、後者ではアルスルの最も重要な持ち物の一つとされている。同書ではアルスルの戦士スェンスェアウクがアイルランドの王ディウルナッハを殺すのに使用している。同じくマビノギオンに収められた『ロナブイの夢』(Breuddwyd Rhonabwy)には、カレトヴルッフと明記されていないもののアルスルの剣が鮮やかに描かれている。

見よ、彼は立ち上がった。手にはアルスルの剣を持っていた。剣身には黄金で打ち出された二匹の蛇の姿があって、
鞘ばしると、蛇の首から二筋の炎が立ち上るのが見え、それがあまりにも恐ろしいありさまだったので、
だれ一人として目を向けて見る者もないほどだった。

後に外国の文献(モンマスをもとにした詩『ブリュ物語』など)がウェールズ語に訳される際、カレトヴルッフはエクスカリバーの訳語として使用された。

カリブルヌスからエクスカリバーへ


12世紀のジェフリー・オブ・モンマスはラテン語の偽史『ブリタニア列王史』において、アーサーの剣をカリブルヌス(Caliburnus)とした。これは中世ラテン語で鋼を意味するcalibs(古典ラテン語では chalybs)の影響を受けているといわれる。モンマスによると、この剣はアヴァロンで鍛えられたもので、アルトゥルス(アーサー)はこの剣を手にサクソン人の軍勢470人を打ち倒したという。

アーサー王伝説がアングロ=ノルマンの詩人ウァースの『ブリュ物語』を経由してフランスの吟遊詩人に取り入れられた際、ラテン語の格語尾usが落ち、起源不明のesやexが加わって古仏語のエスカリボール(Escalibor)、エクスカリボール(Excalibor)などに変化した。これらがのちに英語に入り最終的にエクスカリバー(Excalibur)となった。

フランスの詩人クレティアン・ド・トロワの『ペルスヴァル、あるいは聖杯物語』では、ゴーヴァン(ガウェイン)がなぜかエスカリボール(エクスカリバー)を持っており、次のような記述がある。「なにせ、彼(ゴーヴァン)が腰に下げているのは、まるで木を断つかのように鉄を断つ、当世最高の剣エスカリボールなのだから。」この話はランスロ=聖杯サイクルの『メルラン物語』にも見られ、さらにエスカリボールという語は「鉄、鋼(achier)、木を斬るもの、という意味のヘブライ語である」という民間語源説が書き加えられている。『アーサー王の死』を書いたトマス・マロリーはこの珍妙な説を取り入れて、エクスカリバーを「鋼を斬るもの」という意味とした。

なお、カリブルヌスの英語形であるカリバーン(Caliburne)は『ブリュ物語』などのマロリー以前の英語作品に見える。また、この剣の別名とされることがあるコールブランド(Collbrande)は『頭韻詩アーサー王の死』にカリバーンの異称として登場する。

エクスカリバーと石に刺さった剣


アーサー王を題材にした中世ロマンスでは、アーサーがエクスカリバーを手に入れる経緯として様々な説明がされてきた。ロベール・ド・ボロンの詩『メルラン』では、アーサーは石に刺さった剣を引きぬいて王になることになっている。石に刺さった剣を引き抜くことは、「本当の王」、すなわち神により王に任命された、ユーサー・ペンドラゴンの正当な跡継ぎにしか出来ない行為だったという。ボロンの詩にはこの剣の名前は明記されていないが、多くの人がこれを有名なエクスカリバーのことだと考え、その後書かれたランスロ=聖杯サイクルの一部『メルラン続伝』でそのことが明記された。ところが、さらにその後に書かれた後期流布本サイクルの『メルラン続伝』では、エクスカリバーはアーサーが王になったあとに湖の乙女によって与えられるものとされた。

マロリーは、『アーサー王の死』にこの二つのエピソード(石に刺さった剣を抜いて王になる、湖の乙女から魔法の剣を受け取る)を両方取り入れており、その結果生まれた二本の剣をともにエクスカリバーとしたため、混乱を招いている。なお、「一本目の石に刺さった剣はカリブルヌスといい、二本目の湖の乙女によって鍛え直された剣がエクスカリバーである」という説明がされることがあるが、マロリーにそのような記述は見られない。

エクスカリバーの返還


ランスロ=聖杯サイクルの『アルテュの死』で、傷付いたアーサーは騎士ギルフレ(グリフレット)にエクスカリバーを魔法の湖に投げ入れるよう命じる。二回失敗したのち、ギルフレは王の望みを果たし、湖から手が現れて剣を掴む。これを引き継いだマロリーと他の英語の作品では、ギルフレの代わりに騎士ベディヴィアが剣を湖に投げ入れることになっている。

魔法の鞘

マロリーでは、エクスカリバーの鞘は身につけていると傷をうけない魔法の鞘であるという。しかし、のちにアーサーの異父姉モーガン・ル・フェイの策謀によって奪われてしまう。鞘を失ったことで、アーサーはその人生の終焉を避け得ぬようになっていく。
最終更新:2013年03月07日 22:54