ブローニングM2重機関銃

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ブローニングM2重機関銃(ブローニングエムツーじゅうきかんじゅう)は、ジョン・ブローニングが第一次世界大戦末期に開発した重機関銃である。

M2がアメリカ軍に制式採用されたのは1933年であるが、信頼性や完成度の高さから現在でも世界各国で生産と配備が継続されている。

概要


第二次世界大戦以来、現在でも各国の軍隊で使用されている著名な重機関銃である。M2のストッピングパワーや信頼性は伝説的で、口径が50口径(0.50インチ=12.7mm)であることから別名「キャリバー50」や「フィフティーキャル」と呼ばれる。現場では「メドゥーサ」や「ビッグママ」などの愛称もある。

製作されて70年以上経つが、費用を考慮しての、基本構造・性能トータル面でこの機関銃を凌駕するものは、現在においても現れていない。FNハースタル社が代表的な改良型として、銃身交換を容易にしたFN M2HB-QCB(M2 Heavy Barrel-Quick Change Barrel)を開発し、先進諸国を中心に現有M2機関銃のQCB改修、生産の切り替えが進んでいる。

日本では住友重機械工業がライセンス生産しており、自衛隊では陸上自衛隊では主に車載機関銃や対空用として「12.7mm重機関銃M2」という名称で採用しており、海上自衛隊でも護衛艦等に不審船対処用として搭載しているほか、航空自衛隊でも採用されている。現在では前述のQCB仕様のものが調達されている。調達価格は約530万円である。

アメリカでは、M2の後継となるXM806の開発が進んでいたが、2012年に開発が中止された。

特徴


M2の原型となった水冷式のM1は、敵の砲兵用観測気球を撃つことを目的に配備されたが、その威力と射程は様々な標的に対し有効であった。以降、M2は戦車や装甲車、トラックやジープ等の車載用銃架、地上戦闘用の三脚架、対空用の背の高い三脚銃架、連装、または四連装の動力付き対空銃架、艦船用対空銃架、軽量銃身型の航空機用固定機銃、航空機用旋回機銃架、動力付き航空機用旋回機銃架など、様々な銃架に載せられ陸・海・空軍を問わず広く配備された。簡単な部品交換だけで左右どちらからでも給弾できることも、柔軟な運用を可能にした。

M2重機関銃は12.7mmの弾を音速の3倍の速度で発射する。M2の精度は素晴らしく、800m先の標的も正確に命中する。 第二次世界大戦時、給弾ベルトの長さが9ヤード(およそ8m)あった事から、それを全部撃ち尽くすという意味で「9ヤードをお見舞いしろ!」という表現が生まれた。

歩兵が運用する場合には3名のチームが基本となるため、アメリカ軍ではスリー・メン・ウェポン(3 men weapon)とも呼ばれる。画像にある三脚は対地攻撃用のM3三脚架で、銃自体とは別の装備品である(本来は―実際には不可能だが―他の機関銃同様、ハンドルの保持だけで撃つもの)。M60パットン・M1等の戦車やM2/M3・M109といった装甲戦闘車輌では主に車長用武装としてキューポラに、ソフトスキン車輌ではキャビン上にマウントリングを追加して自由に旋回させられるようにして装備している。さらに近年はM2を搭載した遠隔操作銃座(RWS)が複数種開発され、ストライカーICV等の車輌に搭載されている。

M2は第二次世界大戦中に使われたアメリカ軍航空機の代表的な武装でもあった。しかし高いGのかかる空中戦では、翼内の弾薬の長いベルトリンクがねじれ装弾不良が頻発、装備法に改良が加えられたが、完全とはいえなかった。このため、航空機には1機当たり多数を搭載することで、ねじれの発生で火力を失う事態を避ける工夫が成された。しかし、所詮は口径20mm以上の機関砲に火力では劣るため、現在ではM61等の航空機関砲に取って代わられ、アメリカ軍の固定翼機でこの銃を搭載する機種は運用されていないが、アメリカ海兵隊ではUH-1N、CH-46E、CH-53E等のヘリコプターにおいてドアガンとしてキャビン内から乗員が対地射撃をする際に使用している。またアメリカ海軍の一部艦艇にも最終防衛ラインの一翼を担う兵器として装備されている他、アメリカ沿岸警備隊も使用している。

狙撃銃としての使用例


ベトナム戦争において、後に確認殺害戦果93を挙げたアメリカ海兵隊のトップ・スカウト・スナイパーであるカルロス・ハスコックが、この重機関銃の射程の長さと威力に注目して前線基地で単発狙撃に使用し、7.62mm弾よりも弾道特性が良好で射程も威力も充分であると報告している。この銃は長時間の射撃に耐えるために長く重いブルバレルを持ち、三脚による固定と本体重量の恩恵で単発射撃では反動の問題もほとんどない点も良く、発射速度が機関銃としては比較的遅いことからトリガーでセミオート、フルオートのコントロールをするのが容易であったという。銃身・弾薬の精度は比較的高く、構造上も他のマシンガンに比べれば狙撃に向いている。これはハスコックのオリジナルではなく、古くは朝鮮戦争の長期に亘る山岳戦において、長距離での狙撃に使われている。そこではブリーチをロックしてセミオート化し、上部にテレスコピックサイトを追加する事で、据付の長距離狙撃銃として使用したという記録が残されている。

フォークランド紛争ではアルゼンチン軍がM2機関銃にスコープを装備し、イギリス軍に対して単発射撃で遠距離狙撃に用いる戦術がとられた。これに対しイギリス軍では、有効射程の問題から自動小銃では応射出来ず(撃っても弾が届かない)、高価なミラン対戦車誘導ミサイルをアルゼンチン軍陣地個々に撃ち込むシラミ潰し砲撃で対抗することになった。この件は後に、バレットM82などの12.7mm以上の大口径対物狙撃ライフル開発のきっかけとなった。
最終更新:2013年05月23日 21:56