龍ノ啼ク箱庭拠リ

夜の帳下りて 月が舞台照らす
私は一人踊るの
これは影の叙事詩 誰も知らぬ 物語
語られることなき 記憶

今宵 拝跪す 地の徒が為
龍刻縛す 意思の暗闇
深淵く根を張り
閉ざされた森の中 息潜め待つ
絡まる蔦断ち 楔外る
意味を 知りて

茨草喰い込む 身体抱き 昇る
災う力解けせど
遠き龍啼く空 届かぬ声重ね
いつか 碧空に帰らん

此の身体回紆す 血の軌跡を
准り 蠢く 其の鼓動は
深淵くへ 潜み
私の中で彼方 息潜め待つ
戒められし身体 羡望む
意思の 宿命
暗き泉の淵 月が水面 照らす
私の姿映るわ
今宵流れるのは 誰も知らぬ 円舞曲
歌われることなき 旋律

原始の記憶 誘う彼の地を想い
煌く星達 彩る天空は遠く
龍啼く 箱庭の中
吐息は灼熱の焔を 喚びて

深き森の最奥で 独り彷徨う日々
道標は見えると信じて
翼の戒めに 秘められし存在
制し空へ帰らんと
双頭の龍舞う 遥かなる彼の地は
古より変わらずに
月が紅く染まる 約束の其の日を
恋焦がれ焼けた涙 頬を伝い堕ちる
茨草喰い込む 身体抱き 昇る
災う力 解けせど
遠く龍啼く空 届かぬ声重ね
いつか 碧空に帰る日
想い 祈る
最終更新:2009年10月02日 16:47